「ブーブ」「くっく」、わが子の幼児語を卒業させるコツとは?

第1回 子どもの言葉にまつわるとても大切なこと
言葉が出はじめたころの子どもの幼児語 “ブーブだ!”“くっく履く!”“ワンワンいた!”というのは、なんとも可愛いものですね。しかし、この幼児語をいつ、どのようにして直し、わが子の語彙力を増やしていけばいいのでしょうか? そのコツとは? 『1人でできる子になる テキトー母さん流子育てのコツ』の著者・立石美津子さんにお話しを伺いました。

●言葉のシャワーを浴びせかけることによって、語彙はどんどん増えていくもの

「車を“ブーブ”、ごはんを“マンマ”、靴を“くっく”と言うような幼児語は、子どもにとっては言いやすい言葉なのです。しかし、いくら可愛いからといって、周りの大人がそれを真似して『マンマおいしいでちゅか?』などと一緒になって言っていると、子どもは自分の話す言葉と同じなので、赤ちゃん言葉からいつまでも卒業できなくなってしまいます」(立石さん 以下同)

では、親をはじめとした周りの大人は、どのように対応するのがいいのだろうか?

「“マンマ!”“ブーブ!”と子どもが言った幼児語を『マンマね!』、『ブーブだね!』などと繰り返した後は、『ごはん食べようね!』『車だね!』と、できるだけ通常の言葉を聞かせてください。例えば、オムツ替えのときなども、“ばっちいからちれいにしようね”と言葉をかけるだけでなく、“お尻が汚れたからキレイにしようね!”と、話しかけましょう。言葉というのは、たくさんの言葉のシャワーを浴びることによって、どんどん増えていくからです。

子どもの幼児語を卒業させるコツ

●子どもの幼児語を禁止しない! 使わない方がいいのは周りの大人だけ

ここで、誤解してはいけない大事なポイントがあるという。

「決して子どもの幼児語を禁止してはなりません。使わない方がよいのは、あくまでも大人だけです。子どもはまだ舌や歯、顎が未発達なのでうまく発音できないのは当たり前です。だから言いやすい“マンマ”“ブーブ”などを盛んに使いますが、どんどん使わせて大丈夫です。くれぐれも、子どもが車を見て『ブーブだ!』と言ったときに、『ダメ! クルマでしょ!』と言い直しをさせたり、叱ったりしないでくださいね。話すたびに注意されると、言葉を話すことが不安になり、しゃべらなくなってしまうので気を付けましょう」

つまり、子どもは自分でちゃんと話せなくても、耳にしている言葉が正しい日本語であれば、いつの間にか自然に軌道修正され、赤ちゃん言葉からうまく卒業できるそう。

「子どもに言い直しをさせなくても、周りの大人が正しい日本語に翻訳して戻してやることが大事です。幼児期に、指の言い方を“お母さん指”“お父さん指”と使うことが多いですが、そういう場合も子どもが『お母さん指!』と言ったあとに、『そうね、人差し指ね』と言ったり、『ないないする~』と言ったとき、『片づけようね!』と言っていれば、子どもは徐々に学んでいきます」

●子どもだから難しいだろう…という言葉も、あえて幼児期から聞かせましょう!

さらに、“子どもだから難しいだろう…”とわざわざ社会では使わない言い方で最初に言わせていると、あとで苦労するのは子どもだという。

「小学校6年生になっても“20日”を“にじゅうにち”、“8日”を“はちにち”と言う子どもが実際にいるんです。これも、幼児期からカレンダーを指差して『今日は、しがつはつかね(4月20日)』、『はちがつついたちね(8月1日)』と話して聞かせている家庭の子どもは、わざわざ教えてなくても、小学校に入学する前には正しい日付の読み方ができています。一度インプットされたものを修正するのはとてもやっかいです。聞いたことをどんどん吸収して覚えてしまうのが子どもです。だからこそ、赤ちゃん扱いするのではなく、通常使われている言い方も会話のなかに取り入れていってくださいね」

言葉は生まれつき備わっている本能ではなく、環境によって育まれるもの。だからこそ、親御さんや周りの大人が正しい日本語を話すことを心がけましょう!
(構成・文/横田裕美子)

お話を伺った人

立石 美津子
立石 美津子
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。
子育て本作家・講演家。著書は『一人でできる子が育つ テキトーかあさんのすすめ』『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『1人でできる子になるテキトー母さん流子育てのコツ』『立石流 子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方 』など。