「子どものマネー教育」は何歳からする?

第1回 子どもの「マネー教育」って、どんなもの?
昔は「子どもにお金の話なんてするものじゃない」と言われてきたもの。しかし、今は時代が変わり、幼い頃からお金のことをきちんと学ぶ必要があると考えられるようになった。

そんな中、近年は「子どものマネー教育」が注目されている。いったい何歳頃から、どんなことをするべきなのか。NPO法人マネー・スプラウト代表で、ファイナンシャルプランナーの羽田野博子さんに聞いた。

「マネー教育を始める年齢の目安はありません。そもそも子どものマネー教育の目的は、お金に振り回されず、金銭的にも精神的にも自立した大人になるために、年齢に応じた金銭感覚を育てることだからです」(羽田野さん 以下同)

ひとつの始めどきは、自己管理ができるようになる小1~2年生。しかし、その前に準備期間を設けるのも良いという。

「マネー教育を始めるタイミングは、子どもがお金に興味を持つようになったら。お店に行った際の『買って、買って』が始まる幼児期から、ガマンさせる教育をすること。お金は親が働いているからもらえるもので、限りがあること。使ったらなくなることを教えることが大切です」

限られたお金を上手に使うためには、優先順位を考えて、買うか買わないか選択する必要がある。小学生くらいになったら、必要なものを含めてやりくりを任せてみると良いそう。

貯金箱を使う子ども

●お金の使い方の優先順位はどうつける?

優先順位のつけ方は、「ニーズ」と「ウォンツ」で区別すること。「ニーズ」とは、「必要なもの」「ないと困るもの」で、文房具など、学校で使うものを指す。また、「ウォンツ」とは「欲しいもの」で、おもちゃやゲーム、お菓子などが当てはまるそう。

…あれ? でも、ちょっと待って。学校で使うものも、本人が買うということ?

「一般的に、子どもが自分のおこづかいで買うものは『ウォンツ』が中心で、『ニーズ』は親がその都度買ってあげる家庭が多いようです。でも、それではやりくりは学べません。お金の教育のためには、文房具などのニーズも、自分のおこづかいで買うようにしましょう」

「学校で使うものなどをおこづかいで買わせるのはかわいそう」と思うママもいるかもしれない。でも、そこには重要な意味があると羽田野さんは言う。

「参観日などで学校に行くたび、落とし物コーナーに、ノートや鉛筆など自分の子のものがないか確認するママも多いのでは? 『ニーズ』は、『なくなったら親にもらうもの』と思っていると、なくなっても気にならないものになってしまいます。でも、自分のお財布から出すと、大切に使うようになるのです」

また、夜になって「ノートが終わっちゃった」などと子どもに言われて、焦ったことのあるママも少なくないのでは? こうした場合も、「おこづかいをあげてるでしょ」と言うのがオススメだとか。

「自分のものだから、まだあるのか足りないのかはわかるはず。それを自分で買うようになると、自分の暮らし方の管理にもなるのです」

欲しいものをガマンさせることや、おこづかいで必要なものを買わせることが「かわいそう」なのではない。本当に「かわいそう」なのは、「金銭的にも精神的にも自立できない大人」に育ててしまうこと。

買ってあげたい気持ちをグッとおさえて、子どもにやりくりさせてみるのは大切なのだ。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

羽田野博子
羽田野博子
NPO法人マネー・スプラウト代表 ファイナンシャルプランナー(FP)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士。
FPとしての相談を受ける中で、金銭管理能力は子どものころからのお金の体験が影響することを実感し、2005年に金銭教育啓もう活動のNPO法人「マネー・スプラウト」を設立。
FPとしての相談を受ける中で、金銭管理能力は子どものころからのお金の体験が影響することを実感し、2005年に金銭教育啓もう活動のNPO法人「マネー・スプラウト」を設立。