「小さく生まれた赤ちゃん」に不安を覚えたらどうすれば?

第3回 「小さく生まれた赤ちゃん」のママの気持ち
なんらかの事情があって予定日より早く生まれる赤ちゃんの割合は全体の約6%。これは、赤ちゃんの約20人の1人という割合だ(※)。早産などで出生体重が2500gより軽い状態で生まれてくる赤ちゃんは、現在では「低出生体重児」と呼ばれている。

初めての出産なら、わが子が小さく生まれたという事実だけで不安に思ってしまうもの。低出生体重児の子育てはほとんどの親にとっては初めての経験となる。親はどんな不安を抱え、どんな言葉に傷ついてしまうのだろうか? 昭和大学江東豊洲病院の水野克己教授に話を聞いた。

●たくさんのお母さんたちが落ち込んでしまった言葉

「赤ちゃんが標準よりも小さく生まれると、ご両親はやはり気にされてしまう方が多いですね。ご本人たちが少しずつ前を向いて歩み始めても、周りの方の『小さいわね~』『そんなに小さくて将来大丈夫?』などの言葉に傷ついてしまうという声は非常によく聞きます」(水野教授 以下同)

もちろん、その人たちも悪気があって発している言葉ではない。だが低出生体重児を産んだママたちに話を聞いてみると、「『小さく生まれてかわいそう』『障がいが残るんじゃない?』という言葉を悪気なく投げかけられて、産後は落ち込んだ」という経験を持つ人は実際多い。

「心配や不安の気持ちゆえの言葉だとは思いますが、そういった発言は、せっかく塞がりかけていたご両親の“心のかさぶた”をはぎとってしまうこともある。そのことは、小さく生まれた赤ちゃんの周囲の人々にはぜひ知っていただきたいと思います」

赤ちゃん

●子育ての不安を軽減させるためにできること

では小さく生まれたわが子のために、親としてまずできることは何だろう? 

「まずは親自身が、小さく生まれた赤ちゃんに関する正しい情報を知ることから始めましょう。わからないこと、心配なことは担当の医師や看護師、助産師に何でも聞いてください。どんな些細なことでも大丈夫。専門知識を持つスタッフがご両親をしっかりフォローしてくれるはずです」

病院スタッフと親は、いわば“チーム”。赤ちゃんの入院中は、親は医師や看護師、助産師と積極的にコミュニケーションをとっていこう。NICU(新生児特定集中治療室)がある病院の多くにはソーシャルワーカーや保育士など、赤ちゃんと親を支えてくれるたくさんの専門家がいる。

「退院後は『スモール・ベイビー.com』のような早産児(低出生体重児)の健康を応援するサイトが参考になります。自分たちだけで頑張らずに、周囲のサポートを受けながら一緒に子育てをしていきましょう。一人ひとりの赤ちゃんは私たちみんなの“宝”なのですから」

心配や不安なことがあれば、まずはかかりつけの病院や自治体の保健師さんに相談して適切な診断やアドバイスを受けよう。最近はSNSのハッシュタグを使えば、低出生体重児の親同士でも容易につながりやすくなっている。周囲と協力しながら、すくすくとわが子を育てていこう。
(阿部花恵+ノオト)

お話をお聞きした人

水野克己
水野克己
昭和大学江東豊洲病院 教授、こどもセンター長。母乳育児専門家(国際ラクテーションコンサルタント)の資格を持つ小児科医。NICUで小さく生まれた赤ちゃんたちの治療にも長年携わる。
昭和大学江東豊洲病院 教授、こどもセンター長。母乳育児専門家(国際ラクテーションコンサルタント)の資格を持つ小児科医。NICUで小さく生まれた赤ちゃんたちの治療にも長年携わる。