【臨床心理士監修】夫以外の誰かと恋したい妻の心理

第2回 夫がいても恋したい
不倫はイケないこと。そう理解していても、時に「夫以外の誰かと情熱的な恋愛をしてみたい」。実行するかは別として、ふとそんな願望を抱いてしまうことはないでしょうか?

一度はパートナーに貞操を誓い結婚したはずなのに、夫以外の誰かと恋したいと思ってしまうのはなぜなのでしょうか? 恋愛や不倫の悩みに詳しい臨床心理士の山名裕子さんに聞きました。

●結婚しても恋したくなるのは、ホルモンと性欲が原因?

山名さんによると、恋愛したいと考える心理の裏には、ホルモンバランスや、女性ならではの願望などが隠されているそう。

「恋愛をすると胸がときめきますが、それは女性ホルモンが出ているからなんです。女性ホルモンのバランスが整うと肌ツヤも綺麗になります。さらに、自律神経のバランスも整うため心身の調子が良くなりストレス軽減につながるのです。他にも、幸福感の源になるセロトニンというホルモン物質も出ます。また、女性は性的欲求が年齢とともに上昇すると言われていて、40代くらいでピークになります。しかし、男性は逆に年齢とともに性欲が弱くなりますので、セックスレスになってしまいがち。満たされない欲求を発散しようと、恋愛したいと考えてしまうことも考えられますね」(山名さん、以下同)

また、女性はいつまでも“女でいたい”という気持ちが強いことも特徴だといいます。

「女性というのは永遠に女扱いされたい、女でいたいという気持ちが強いと思います。『女として誰かに愛されたい、褒めてもらいたい、存在を認めてもらいたい』という承認欲求は皆が持っているものなのではないでしょうか」

さらには、少女やドラマの主人公のようになりたい“ヒロイン願望”も相まって、恋愛志向に傾く人も多いようです。

「女性は基本的には現実的。でも、どこかで夢見る少女の部分は消えなくて、“もしかしたら”と妄想をするんですよね。夫に冷めてしまったり、ケンカしている時期などは特に、『もっと燃え上がる恋ができる運命の王子様が、どこかにいるかもしれない』といった感覚が芽生えてしまうものです。心が満たされてない人や、自信がない人はとくにこうした感覚に陥りがちです」

【臨床心理士監修】夫以外の誰かと恋したい妻の心理

●無趣味&友達不在の人は恋愛の隙が生じがち?

とはいえ、妄想だけで終わらせておけば誰にも迷惑は掛けません。やっかいなのは、行動に移してしまうケースです。

「理性をちゃんと持っていれば、家族を失うリスクを背負ってまで恋愛したいとは思わないものです。それでも不倫にのめりこんでしまうのは、現実を直視できていないから。ストレスフルな現実から目を背けようと恋愛に走るケースは少なくありません。近くに冷静で客観的な意見を述べてくれる同性の友人などがいればいいのですが…」

しかし、不倫に溺れる女性には、腹を割って話せる相手がいないことが多いと山名さんは指摘します。

「不倫している女性に話を聞くと、上辺だけの友だちはなんとなくいるけど、親友と呼べる人がいないということが多いです。また、子どもができると、付き合いの範囲がママ友だけになってしまいがち。話題は子ども中心で、自分のことを相談する機会が極端に失われてしまいます。子育ての忙しさから学生時代からの友だち関係を断ち切ってしまった人などは、特に注意が必要です」

不倫願望が爆発しそうになったら、「趣味を持つなどして、日々の充足感を高めるように努めてみるのもいいでしょう」と山名さん。たとえ夫に恋愛感情を持てず満たされない思いを抱えていたとしても、不倫はやはり『いばらの道』。恋愛以外の何かで自己承認欲求を満たす道を模索するのが賢明かもしれません。

(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

山名裕子
山名裕子
臨床心理士
1986年5月7日、静岡県生まれ。臨床心理士。「やまな mental care office」を東京青山に開設。心の専門家としてストレスケア、ビジネス、恋愛等、日常のありとあらゆる悩みへのカウンセリングを行っている。まだまだカウンセリングに対する偏見の多い日本で、その大切さを伝えるために、テレビ、雑誌などのメディア出演や講演など、幅広く活動している。新書に『一瞬で「できる男」と思わせる心理術』(宝島社)。
1986年5月7日、静岡県生まれ。臨床心理士。「やまな mental care office」を東京青山に開設。心の専門家としてストレスケア、ビジネス、恋愛等、日常のありとあらゆる悩みへのカウンセリングを行っている。まだまだカウンセリングに対する偏見の多い日本で、その大切さを伝えるために、テレビ、雑誌などのメディア出演や講演など、幅広く活動している。新書に『一瞬で「できる男」と思わせる心理術』(宝島社)。