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夏休み明けの子どもの自殺急増、その理由とは?
~夏休み明けの自殺から子どもを守る~

内閣府の「自殺対策白書」で、過去42年間にわたる18歳以下の子どもたちの日別自殺統計が発表されました。データによると、1年のなかでもっとも自殺が多い日は、9月1日であることが分かります。

夏休み明けに当たる9月1日に、なぜ突出しているのでしょうか?NPO法人「ストップいじめ!ナビ」の須永祐慈さんに、「連休明けブルー」がはらむ危険性について聞きました。

●9月1日の子の自殺急増、学校生活が関連していることは明らか

過去42年間の統計では、9月1日に計131人、続いて4月11日の99人と、新学期のスタート時に自殺者が多いことが明らかにされています。

「逆に、夏休み中は自殺者数が少し下がります。これは、明らかに学校生活の再開に関連していることは統計データからわかると思います。学校が生活基盤になっている子どもにとっては、当たり前のことですが、学校に行くことについて極度なプレッシャーが掛かっている。それは、いじめであったり、教師との不和であったり、長時間学校に居続けなければいけないことであったり、さまざまなストレスが存在していることの顕れだと考えられます」(須永さん、以下同)

実際、夏休み明けに学校に行きたくない、と駄々をこねる子どもは少なくありません。それゆえ、自殺という選択をとる子どもに対して、「極端すぎるのではないか」「自分の子どもはそこまで深刻ではない」などと大人は考えてしまいがちです。しかし、須永さんは、その考え方自体が危険だと警鐘を鳴らします。

「その子に問題があるという考え方は、子どもを“見る視点”を失ってしまう可能性があります。子ども個人の問題としてしまうのは、非常に危険。性格は子どもによってそれぞれ違いますし、ストレスの感じ方も違うでしょう。まずは、子どもにも“ストレスを感じる状況”があるということを知ってほしいです。『こういう性格の子は気を付けよう』というのではなく、『こういう喋り方やこういう態度をとっているときに気をつけた方がいい』と考えた方が良いと思います」
夏休み明けの子どもの自殺急増、その理由とは?
 

●子に降りかかる“日本ならでは”の学校システムのストレス

過去には、天真爛漫で活発だった子がある日を境に、突然クラスメイトから冷たい視線を浴びるようになり、追い詰められて死を選んだという痛ましい例もあったといいます。もとの性格がどうであれ、たとえば「いじめの心配がないような明るい子」であったとしても、決して安心はできないと須永さん。そのため、親も子どもの心境の急激な変化に対して、柔軟に構えて欲しいと話します。

「親としては子どもが『学校に行きたくない』と言った瞬間に、我が子が社会のレールから外れることに危うさを感じる人がいるかもしれません。仮に、もしそのまま不登校になったとしても、生きやすさを手に入れるためには色々な道があるということを親も理解し、否定しないで欲しいと思います。そもそもですが、小・中・高校と画一的な教育システムに乗っかることがスタンダードで、それ以外はマイノリティであるという空気が蔓延している社会が変わらないと、いじめによる子どもの自殺減少への根本的解決にはならないと思います」

須永さんによると、日本以外の国では子どもの教育方法がそもそも多様でさまざまなタイプの学校があり、一つの学校だけがすべてではないという理解が定着しているとのこと。

「日本では学区も決められており、既存の学校に行かなくなると、問題がある子どもと思われて、不登校というレッテルを貼られがちです。フリースクールも増えていますが、そこに通うイコール、レールを外れたという見られ方をする向きが強い。かたや他国ではメインのレギュラースクールがあったとしても、家庭が子どもにあった学校をチョイスしています。学校に行かないことで苦しさがなくなるなら別な学校や教育方法を探してもいいし、社会もそうした選択肢を保障しているわけです」

とはいえ、以前にくらべると義務教育に対する親の意識も変わってきていると須永さん。親も学校を信じ切っていて、“行かない選択肢”がなかった一昔前にくらべると、親の意識も“行きたくなければ行かなくていい”という意識にちょっとずつ変わってきていると言います。夏休み明けが近づき、子どもが連休明けブルーの兆候がないかどうか、注意深く見守る必要がありそうです。

(取材・文=末吉陽子/やじろべえ)

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