いつ、どれから? 予防接種のスケジュールの組み立て方

第6回 いざという時に慌てないための予防接種ガイド
ここ数年、新しいワクチンの定期接種化で多くのワクチンが無料でうけられるようになったことはありがたいこと。

その一方で、種類と回数が多いことから、「いつ、何から始めて良いかわからない」というママもけっこういるのでは?

NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」の理事長で、すがやこどもクリニック院長の菅谷明則先生は、次のように話す。

「1歳前に接種する主なワクチンは、任意のロタウイルスワクチンを含めて6種。接種回数は15回以上にもなり、ワクチン接種後は必要な間隔をあけなければいけないルールがあるため、計画的な接種が必要です」(菅谷先生 以下同)

種類も回数も多いワクチンは、1種ずつ受けていては感染しやすくなる前の接種が間に合わないこともあるそう。そのため、効率的に接種するためには、複数のVPD(ワクチンで防げる病気)に対する免疫をできるだけ早く獲得できる「同時接種」が必要不可欠という。

「予防接種のスケジュールは、スタートダッシュが大切です。病気にかかりやすくなる前に免疫をつけるためには、生後2カ月目から同時接種でスタートすることが最も重要です」

●0歳児のおすすめ接種スケジュール

以下に、オススメのスケジュールを教えてもらった。

■生後2カ月 ワクチンデビュー
B型肝炎、ヒブ、小児用肺炎球菌、ロタウイルス(任意)
■生後3カ月 
B型肝炎(2回目)、ヒブ(2回目)、小児用肺炎球菌(2回目)、四種混合、ロタウイルス(2回目)
■生後4カ月
ヒブ(3回目)、小児用肺炎球菌(3回目)、四種混合(2回目)+ロタウイルス(3回目)
■生後5カ月 
四種混合(3回目)、BCG
■生後7~8カ月
B型肝炎(3回目。2回目から4~5カ月あけて接種。忘れないように注意)

●予防接種に欠かせない「かかりつけ医」は生後1カ月までには探そう!

また、予防接種を受ける前には、かかりつけの小児科医に問い合わせて予約しておく必要がある。そのためにはまず、生後1カ月くらいまでには「かかりつけ医」を探すことがオススメだ。

かかりつけの小児科を選ぶポイントとなるのが「同時接種」だ。予防接種指定医療機関リストの小児科が予防接種の同時接種をやっているか確認してみよう。少し離れた小児科でも、同時接種してもらえるところで接種を受ければ、VPDを早期から予防でき、通院回数も減ることで負担も軽減できるという。

「スケジュールをきちんと決めていても、赤ちゃんが体調を崩すなど、予定通りにいかないことはあります。そうした場合も考え、できるだけ早くスタートし、同時接種で進めることが大切です」

種類の多い予防接種スケジュールを母子手帳だけで管理するのは大変なこと。

ワクチンごとの接種時期の表示や予定日の通知などの機能もある無料アプリ「予防接種スケジューラー」を利用するのもオススメだ。
(取材・文:田幸和歌子 編集:ノオト)

お話をお聞きした人

菅谷明則先生
菅谷明則先生
NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」理事長
慶應義塾大学医学部卒業。2005年「すがやこどもクリニック」を開院。日本小児科学会専門医、医学博士。2017年7月よりNPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会理事長。
慶應義塾大学医学部卒業。2005年「すがやこどもクリニック」を開院。日本小児科学会専門医、医学博士。2017年7月よりNPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会理事長。