子のぐずりに周囲への配慮も大切 だけどママがもっと大切にすべきこと

第2回 子連れ外出をもっと気軽に ママと社会の接し方
「電車のなかでベビーカーを利用していたら、周囲の乗客に注意を受けた」「子どもが泣きわめいたら大声で叱責された」など、こうした声を見聞きする機会が増えました。「赤ちゃんは泣くのが仕事」なんて言葉もあるけれど、それを迷惑と思い、赤ちゃんのことが嫌いな人がいることも事実。周囲に気兼ねなく子育てができる環境作りが一朝一夕にはできない背景には、こうした、多様な価値観があります。

子のぐずりに周囲への配慮も大切 だけどママがもっと大切にすべきこと

ママは誰にとって良いママなのか?

とはいえ、「私は子どもが嫌いです」と相手の顔を見ればわかるわけでもなし。様々な考え方を持つ人たちが過ごすなか、周囲に迷惑をかけないように気を使い続けるのも至極大変。そういったわずらわしさから、外に出るのが面倒くさくなってしまったという意見も聞くけれど…。

「撮影やオーディション、ワークショップ、ベビーシッターなどで日々多くのママたちとの出会いがありますが 、溢れる育児情報のなか、何が正解か戸惑っているママたちも少なくありません。また、未婚率も高まりママの数が減る一方、SNSなどで育児のマイナス面や子育て環境が辛いことばかりが拡散されてしまう世の中です。そんななか、自身の育児力を追求しすぎたり周りの目を気にしすぎ、好印象を求めるあまり、育児の真髄を見失ってしまっているように見えることもあります」

そう話すのは、ベビーモデルトレーナーの野田純子さん。野田さんはベビーモデルトレーナーとして、テレビCMや広告などの撮影時、赤ちゃんモデルのご機嫌管理やアクション誘導、健康管理などを行う仕事をしています。日ごろから、赤ちゃんとその母親たちと向き合うことが多い立場から、その肌で感じた意見を次のように話してくれました。

「お子さんが求めているのは『良いママ』ではなく『私のママ』です。そしてあなたのお子さんの育児の答えはあなたのお子さんの中にあります。育児書やネットの中に、あなたのお子さんにピタリと当てはまる回答はありません」(野田さん 以下同)

周囲の評判を気にしすぎるよりもママとして大切なこと

同時に、野田さんは次のようにも話します。

「時々 素晴らしいママに出会います。そんなママの共通点は、(1)子どもの気持ちにしっかりと寄り添い 喜怒哀楽を受け止めていること。(2)機転を利かせ、最良に導けるよう、いつも子どもと向き合っていること。そして(3)どんな状況でも『大好き!』をたくさん伝え、しっかりハグをしていること」

本当にシンプルですが「それに尽きるのではないか」と野田さん。そんなママのお子さんたちは幸福感も高く、とても健やか。撮影現場などでも自己肯定感が高い子どもは、本番のパフォーマンスがとても安定しているそうです。子どもがどんなに大きくなっても、上記3つが子育ての最大の課題とも話します。

もちろん、子どもが周囲に迷惑をかけ続けても良いというわけではありません。最低限、配慮は必要なものの、子どもからも周囲からも完ぺきなママであることを求めすぎるのは無理が生じるということ。ママは誰にとって良いママであれば良いでしょうか、周囲でしょうか、それとも。子どもの気持ちに寄り添うことや「素敵だね!」と伝えてあげること。そうした行為を通じて、子と信頼関係を育くむ大切さを、野田さんは説いています。
(文・鈴木大介/考務店)

お話をお聞きした人

野田純子
野田純子
ベビーモデルトレーナー
雑誌やCMなどの撮影現場で年間1000名以上の赤ちゃんと関わる「お世話」のプロ。国際ホリスティックセラピー協会チャイルドボディセラピスト。JADPチャイルドコーチングアドバイザー。
雑誌やCMなどの撮影現場で年間1000名以上の赤ちゃんと関わる「お世話」のプロ。国際ホリスティックセラピー協会チャイルドボディセラピスト。JADPチャイルドコーチングアドバイザー。