小学校から大学まで、かかるお金はどれくらい?

第1回 小学生からでも間に合う? 教育資金のため方
子どもが小さいうちは「教育費」という言葉をきいてもあまりピンと来なかったけれど、小学生になったあたりから「うちの家計、大丈夫かしら」「ちゃんと大学まで行かせてあげられるかしら」と不安になってくるママって、とっても多いんです。もし少しでも不安に思ったら、まずはどのくらいの教育費がかかるのか知ることが大切。大学までかかるお金とポイントについて、ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子がお教えします。

Vol.1小学校から大学まで、かかるお金はどれくらい?

子どもの進路に関する親の「価値観」を今から明確に

小学校から大学まで、オール公立とオール私立では、総額で約1400万円(私立文系の場合)近く差があると言われています(理系や医歯系にいけばさらに差は大きくなります)。このことを漠然とはわかっていても、いざ自分の子どもが「ねえママ。Aくんも中学受験するんだって。僕も受験したい!」と言ってきたとき、「ダメよ。私立中学に行かせるお金はない」と即諦めさせられるママはどのくらいいるでしょうか。うちは大学まで公立のつもりだったのに、子どもの願いを叶えてあげたくて、気がついたら中学からずっと私立で進んでしまった…という家庭は少なくありません。

そこで大事なのは、わが子にどのくらいお金をかけてあげたいと思っているか、親自身の「価値観」を確認して、小さいうちから「この進路なら出せる」という境目を明確にしておくこと。また、一般的にかかる教育費を知っておくことで「高校から私立に対応できるように●●万円くらいを目標に貯金をしよう」とか「大学も国公立なら出せるから、私立の場合は足りない分は奨学金などを使う方針であることを、早く子どもに伝えよう」など今からすべきことがハッキリします。ちなみにこの価値観、夫婦で大きく異なることもよくある話です。赤ちゃんの頃はなかなか話題にのぼることはありませんが、小学生になる頃には夫婦でしっかりお互いの価値観を共有してくださいね。

小学校から高校までは、毎月かかる金額の目安を知ろう

<小学校から高校まで毎月かかる教育費>

小学校から高校まで毎月かかる教育費

(出所:平成28年度子供の学習費調査/文部科学省より筆者作成)

基本的に公立の場合、授業料はかかりませんが(高校の場合所得制限あり)、実習材料費や修学旅行代、通学関係費用などのお金がかかります。一方、私立の授業料などは学校によって、前期と後期にわけて振り込むところもあります。年2回の支払いの場合でも、毎月かかる目安の金額をプールして支払いに充てる考え方で大丈夫ですので、上表の金額を毎月の手取りから出し続けられる進路選びを心がけましょう。

中学受験をするなら塾に年額80万円を軽く出せることが前提

中学受験が盛んな地域の場合は、冒頭の話のように友達につられていつのまにか受験塾に通うなんてことも。一旦私立中学に入ったら、大学卒業まで私立進学が続くことを覚悟しましょう。そこで目安にしたいのは、一般的にかかる中学受験塾のお金を、「軽く」出せるかどうかということ。大手の中学受験塾には、小4で70万円、小5で80万円、小6で90万円などかかるケースがあり、これにさらにお金をかけて個別塾や家庭教師に頼る家も実際は結構います。また私立中学でかかるお金は、公立中学に比べて1年で約85万円高いため80万円を軽く出せないようでは、あとが持ちません。

また、「私立に行けば塾に行かないでいいから結果的には公立と変わらない」という噂もありますが、これも進学する中学によって事情はまったく変わります。少しでもそういう期待を持って受験する場合は、中学の勉強サポート状況のリサーチはもちろんのこと、「私立に入ったら塾には行かせられないから、自分で勉強するんだよ」としっかり子どもに言い聞かせるなどの覚悟が必要ですよ。

大学は国公立なら年額94.2万円、私立は文系と理系で大きく異なる

出所:教育費負担の実態調査結果(平成29年1月発表)/日本政策金融公庫より筆者作成

(出所:教育費負担の実態調査結果(平成29年1月発表)/日本政策金融公庫より筆者作成)

大学の学費は、まず入学が決まった時期に入学金と前期授業料などを合わせた金額を一括納入します。受験塾や受験費用も相当かかった直後に支払うこの初年度納付金はかなり苦しいもの。そこで目安として高校3年の秋に最低でも200万円用意しておきましょう。もし私立進学も視野に入れるなら、300万円。この金額をパッと出せる家庭は少ないため、小さい頃からの貯金や投資で対応することとなります。

学校や習い事以外でかかるお金も忘れないこと

教育費は学校や習い事にかかるお金以外にも、突発的にかかるお金がいくつもあります。いくら対策を立てていても、突発的な出費が積み重なり、結果奨学金を借りるはめに陥るというケースもありますので、どんなことにいくらかかるのか知ることが大事です。

たとえば留学。グローバルな社会で渡り歩いていける力をつけたいと今後は留学をする子どもも増えるように思います。公立高校などでは、英語の成績上位者数名はかなり安く行けたりしますが、そうでない場合は高額な民間の留学プログラムなどで行くことに。一例をあげると、夏休みを活用した短期留学プログラムでアメリカに3週間行くケースで約40万円かかります。(留学ジャーナルHPより)

大学受験に失敗して浪人した場合も想定外のお金がかかります。予備校や選ぶ講座の量にもよりますが、40~100万円が目安です。

小学校から大学までかかるお金についてざっくりと目安がおわかりいただけたかと思います。かかるお金がわかったら次にどのように乗り越えていくかを考えなければなりません。次回以降、具体的にどう貯めていけばよいかをお伝えしますね。
(文:鈴木さや子 編集:ディライトフル)

※この情報は2017年12月時点のものです

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

プロフィール

鈴木さや子
鈴木さや子
日本FP協会会員 CFP(R)〈サーティファイド ファイナンシャル プランナー〉
国内損害保険会社に勤務を経て結婚を機に退職。出産後、育児をしながら独学で勉強し、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。現在、個人のマネー相談、企業での女性向け講演や研修のほか、コラム執筆、ママ向けセミナーも行なっている。株式会社ライフヴェーラ代表取締役。中学生と小学生の2人の娘のママ。
国内損害保険会社に勤務を経て結婚を機に退職。出産後、育児をしながら独学で勉強し、ファイナンシャルプランナーの資格を取得。現在、個人のマネー相談、企業での女性向け講演や研修のほか、コラム執筆、ママ向けセミナーも行なっている。株式会社ライフヴェーラ代表取締役。中学生と小学生の2人の娘のママ。