子ども・子育て支援新制度 2016年に始まった「お迎え制度」って?

第7回 平成27年の4月から本格スタート:子ども・子育て支援新制度Q&A
2015年4月、「子ども・子育て支援新制度」がスタートしました。そのうちのひとつ「病児保育」は、子どもの急病で出社できないというワーママに役立つ制度として注目されていますが、2016年、少し遅れてスタートした「お迎え制度」をご存知でしょうか?

今回は、全国病児保育協議会会長・大川洋二(ひろじ)さんが解説してくれました。

子ども・子育て支援新制度 2016年に始まった「お迎え制度」って?

「お迎え制度」ってどんな制度?

「子どもが急病でお迎えに行かなきゃ…」。子育てと仕事を両立するママなら、多くの人が経験したことがあると思います。しかし「お迎え制度」を活用すれば、その心配はなくなるそう。

「これまでは、保育園や幼稚園、認定こども園などの施設に預けていた子どもが急に体調が悪くなったとき、お母さんに連絡して迎えに来てもらうのが一般的でした。しかしこの制度は、病児保育を行う施設のスタッフなどが代わりに迎えに行き、かかりつけ医で診察してもらってから預かるというもので、お母さんやお父さんが仕事中に早退しなくてもよくなったのです」(大川さん、以下同)

子どもの急病による早退問題は、働くママにとって、重要なこと。この制度はそんな人たちにとって、大きなメリットとなるのです。

デメリットも認識しよう!

一方で、この制度にはまだ危ない面もあるのだとか。大川さんは、デメリットとして2つのことを挙げます。

「まずひとつ目は、『子どもの精神的不安』です。知らない人に知らない場所へ連れていかれるというのは、子どもにとっては、大きな心理的負担。子どもにとってもなじみのある施設、せめて一度は使ったことがある施設にするなどの配慮が必要です」

そしてもうひとつは、「重症化したときの対処」。

「体調が悪くなるといっても、軽度のものから重症化の恐れがあるものまで様々あります。施設のスタッフが園にお迎えに行って、かかりつけ医に診察してもらったとき、もしも『すぐに入院する必要がある』と言われたらどうしますか? 家族ではないスタッフに、勝手な判断はできませんよね。そのため、あらかじめ保護者と綿密な話し合いをして、緊急時にどうするかを決め、同意を取っておく必要があります」

さらに、大川さんは、「『お迎え制度』を含む病児保育は、母親の就労支援の面ばかりがクローズアップされますが、本来は子どものための制度」とも。

ママにとっては、子どもの急病が原因での急な早退や欠席を避けられるメリットはありますが、「早退しなくてよくなった」だけではなく、子どものことを考え、もっと慎重に利用すべき制度なのかもしれません。
(文・明日陽樹/考務店)

お話を聞いた人

大川洋二
全国病児保育協議会会長・大川こども&内科クリニック理事長
1976年、東京医科歯科大学医学部卒業。2000年に東京都大田区で大川こども&内科クリニックを開院。「夜尿症外来」「じっくり外来」「発達心理外来」など多様な外来のほか、病児保育室「うさぎのママ」や、子供の成長に関して相談を受け付ける「すくすく相談室」などを併設し、様々な形で地域のニーズに応えている。
1976年、東京医科歯科大学医学部卒業。2000年に東京都大田区で大川こども&内科クリニックを開院。「夜尿症外来」「じっくり外来」「発達心理外来」など多様な外来のほか、病児保育室「うさぎのママ」や、子供の成長に関して相談を受け付ける「すくすく相談室」などを併設し、様々な形で地域のニーズに応えている。