【公立小学校】学区ごとに学習レベルの違いはあるもの?

第1回 公立小学校の失敗しない選び方
たとえば私立小学校なら、校風や学力など顕著に差が出ることもあるので比較できる項目はたくさんあります。では、公立小学校の場合はどうでしょう。公立ならば、エリアにかかわらず一律の規定で教育が進められているはずですが、はたして公立小学校の学習レベルにエリア差はあるものでしょうか?

『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など、数々の教育関連本を手掛ける、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんにうかがいました。

【公立小学校】学区の学習レベルに違いはあるもの?

「内容」に差はなくとも「習得」に差が出ることがある

先述のように、公立小学校では一律の規定で教育が進められているかと思いますが、実際のところはどうなのでしょう?

「日本の場合は、学習指導要領が諸外国と比べて厳密に規定されているので、全国どの学年でも学習内容が著しくちがうわけではありません」(中曽根さん、以下同)

やはり、学習内容に大きな差はないようです。しかし、学習内容は同じでも、「習得」においては、差が出ることもあると中曽根さんは続けます。

「特に小学校レベルですと、子どもたちの成長のレベルは個々によって違うので、学習内容の習得に関しては、個人差がでます。たまたま、ある学校は理解度の高い子どもが多い、あるいは反対に少ないといったことは起こる可能性はあるでしょう。それを学区による学習レベルの差とひとくくりにはできないと思います。とはいえ、地域によって特色はあると思うので、教育熱心な家庭が多い地域にある学校は学力が高いという評判が立つこともあります」

実際、最近では公立小学校でも教科によって進度別クラスを編成して授業を行ったり、みんなとは違う教室で少人数指導をするなどの「取り出し授業」を行ったり、個別に対応するケースはあるそうです。

公立小学校間の学力の差を調べる方法は?

では、そういった学力の差を一般の人でも判断できる方法はあるのでしょうか? ネットで検索したり、資料に書いてあったりして、わかりやすくなっていればいいけど…。これについては、中曽根さんは以下のように話します。

「地域によっては、全国学力調査の結果を公表しているところもありますが、学力レベルの差が歴然とわかるわけではありません」

自分で調べてわかるものではないとなると、学力の差を見極めるには、やはりママ友や先輩ママなどとの情報共有が重要になってくるのかもしれません。

また、中曽根さんは以下のようにも話します。

「大切なのは、学力レベルだけではなく、それぞれの学校の置かれている状況です。例えば、都心でも少子化で1学年1クラスという学校も珍しくありません。反対に急激な人口増加で教室が足りず、プレハブ校舎になっている学校もあります。個々にメリットデメリットはあるので、学校選択制のある地域でしたら、お子さんのタイプ、家庭の考え方に照らし合わせて、選ぶことが大事でしょう」

一校に絞らず、積極的に見学会に参加するなど、自分の足や目を使って、確認することが、もっとも良い手段とも言えそうです。
(文・明日陽樹/考務店)

お話を聞いた人

中曽根陽子
中曽根陽子
教育ジャーナリスト、マザークエスト代表
紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、メディアでコメントを求められることも多い。また、母親のための探究型学び場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。近著に『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)がある。
紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、メディアでコメントを求められることも多い。また、母親のための探究型学び場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。近著に『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)がある。