【公立小学校】教育モデル校はどうやって選ばれるの?

第3回 公立小学校の失敗しない選び方
子どもの学校選びで、様々な学校を調べているママも多いと思いますが、「教育モデル校」という言葉が出てくることはありませんか? そうした学校に通わせることで、先進教育に触れる機会を増やせるため人気は高いようですが、そもそもモデル校ってどうやって選ばれるの?

教育ジャーナリストの中曽根陽子さんに聞きました。

【公立小学校】モデル校はどうやって選ばれるの?

モデル校のテーマは多岐にわたる

まず、モデル校はどれくらいあるのかを聞こうとしたところ、「ひと口にモデル校といっても、たくさんあるので数はわかりません。各教育委員会にお問い合わせください」と中曽根さん。「たくさんある」とは、どういうこと?

「例えば、最近では、英語学習・プログラミング教育・道徳教育などテーマはたくさんあります」(中曽根さん、以下同)

実際、「平成29年度東京都教育委員会 研究指定校一覧」を見てみると、かなりの数が…。中曽根さんの言う通り、そのテーマは様々で、「安全教育推進校」「人権尊重教育推進校」「日本の伝統・文化の良さを発信する能力・態度の育成事業」など、学習以外のことでもモデル校が指定されているようです。

モデル校を指定する目的・基準は?

何を目的としてモデル校を指定するのか、というのも気になるところ。これに関して、中曽根さんは、「文科省がその時そのときに力をいれようとしているテーマを推進するために、モデル校を作り施策の実現をはかるため」と話します。

先ほどの「平成29年度東京都教育委員会 研究指定校一覧」にも記載されているので、一部紹介します。

【日本の伝統・文化の良さを発信する能力・態度の育成事業】
「2020東京オリンピック・パラリンピック教育における伝統・文化に関する取組について、地域の専門的な知識や技能を有する外部人材の活用を通して、児童・生徒の専門性を高めるとともに、外国人と積極的に関わり、意見交換する機会等を設定し、日本の良さを発信する能力や態度を育成する」

【安全教育推進校】
「学習指導要領及び都教育委員会教育目標等に基づき、学校において、幼児・児童・生徒に危険を予測し回避する能力と、他者や社会の安全に貢献できる資質や能力を育成するため、効果的な安全教育を実践的に研究し、その効果を普及することをねらいとして、安全教育推進校を指定する」

このように、テーマごとによって、目的も異なるのです。また、もうひとつ気になるのは、誰がどうやってモデル校を決めるのか。

中曽根さんいわく、「明確な基準が開示されているわけではありませんが、各学校、特に学校長が手をあげて、学校の実状や地域のバランスなどを鑑みて、教育委員会が決定することが多いと思います」とのこと。

また、「場合によっては、教育委員会から学校側に打診されることもあると思います」とも。

都道府県や市町村ごとに、モデル校一覧をまとめていることもあります。自分の子どもが通う学校は何かのモデル校になっているか、もしくは力を入れて学んでもらいたいことのモデル校はどこかなど、事前に確認してみてはいかがでしょうか?
(文・明日陽樹/考務店)

お話を聞いた人

中曽根陽子
中曽根陽子
教育ジャーナリスト、マザークエスト代表
紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、メディアでコメントを求められることも多い。また、母親のための探究型学び場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。近著に『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)がある。
紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、メディアでコメントを求められることも多い。また、母親のための探究型学び場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。近著に『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)がある。