ママの化粧品が子どもの肌につくのは危ない?

第13回 ウソ?ホント?スマホ時代の情報Q&A
育児中のママはすっぴんで過ごすことが多いはず。家事や育児に追われて“メイクをする時間がない”のも理由のひとつですが、もうひとつ気になるのが、化粧品が子どものカラダに与える影響。

子どもがママの顔に頬ずりしてきたり、ときには舐めてしまったりすることもあり、「メイクをしていると、なんとなく危なそう…」という理由で、すっぴんを選んでいるママもいます。でも、本当に化粧品は子どもにとって危ないものなのでしょうか?

ママと赤ちゃん

化粧品は安全性の高いものである

子どもの肌に化粧品が触れてしまうことはいったん除外して、子どもが何らかの形で化粧品を体内へ摂取してしまった場合、どのような危険性があるのか説明します。

まず、当然ではありますが、口紅以外の化粧品は口から入ることを前提には作られてはいません。また、赤ちゃんに化粧品を食べさせたような実験は行っていないので、赤ちゃんが舐めたときに何が起こるかという実験データがあるわけでもありません。しかし、このような場合には、誤飲をした場合のリスクというものを考えるそうです。

一般的に化学物質の安全性を評価する方法に急性経口毒性試験というものがありますが、化粧品を誤飲した場合の安全性を考える上で、この急性経口毒性試験の考え方はひとつの目安になります。つまり、どんなに安全なものでも大量に接種したら人体に影響を与えるのですが、摂取量を減らすと、ある一定のラインで何も起こらなくなります。この閾値(いきち)を判断して安全性を決める考え方です。

ママの顔にどんな化粧品がどのくらいのっているのかは人によって違いがあるため、一概にいうことはできませんが、例えばサンスクリーンのSPFを測定する方法では1平方cmに2mgを塗って測定することが決まっています。この量は伸びの悪い製品にも対応するために、皮膚にのせる量としてはかなり多めの量になります。このような量を仮定した場合、赤ちゃんの口内に入る化粧品の量は、多めに考えても2mgです。こんなわずかな量であれば、毒性の強いものでない限りは安全といわれています。もちろん、ママが安全に使っている化粧品にはもともと危険なものは使われていないはずなので、赤ちゃんへの影響はママが気にされる必要はないレベルだといえそうです。

間違って舐めても大丈夫な量なのですから、ましてや赤ちゃんの肌に付着する程度であれば、とくに気にする必要もなさそうです。

子育て中ママが化粧品を使用するにあたって注意すること

メイクをしているママの顔を赤ちゃんが舐めてしまったりすることよりも、注意しなければならないことがあります。

「除光液」や「ネイルカラー」、「脱色剤」など、粘膜に炎症を起こす恐れのあるものを誤飲してしまった場合には、赤ちゃんに限らず、ただちに医師の診療を受けるようにしましょう。もちろん、それ以外の誤飲・誤食についても、不安なことがあったら、病院の受診をおすすめしますが、その際、診断の参考になることもありますから、その化粧品に使用されている成分が表示されている容器や外箱を持参してください。

また、化粧品の容器は色がきれいものやキラキラしたものが多く、赤ちゃんが興味を持って触ったりしているうちに、誤って飲み込んでしまうことがあります。窒息などの危険がありますので、保管場所には、十分に注意しましょう。

様々な要因が考えられるため、除光液が原因とは断言できませんが、狭い閉め切った室内でママがマニュキュアを落とすために、除光液を使用していたところ、赤ちゃんが吐いてしまったという事例があります。ニオイや刺激の強い化粧品を使うときは、窓を開けるなど、換気に心がけましょう。

化粧品と肌との相性、体質やその日の体調などによって皮膚トラブルなどを起こす可能性はゼロとはいえませんが、化粧品は人の肌に使用するものであり、万が一、誤って口に入ってしまったり、飲んでしまったとしても、“重篤な健康被害を起こさない“という考えで作られています。ママのなかには、心配に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、もし、子育て中にメイクを楽しみたいのであれば、過剰な心配をすることなく、使用していただきたいです。

日本国内だけでも化粧品会社は約3000社あるそう。「使っていいのか不安…」と感じる場合は、メーカーのウェブサイトなどで安全性に関する信頼性を確認したり、メーカーに直接問い合わせて、納得の得られる回答をもらえるかなどで、化粧品を選ぶのもひとつの方法です。
(文・奈古善晴/考務店)

※本記事の情報は執筆時または公開時のものであり、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご注意ください。

取材協力

日本化粧品工業連合会
化粧品工業の発展、国民生活の向上を目標に1959年7月に設立された団体。
化粧品工業の発展、国民生活の向上を目標に1959年7月に設立された団体。