怒ると叱る、違いは“誰のため”か

怒ると叱る、違いは“誰のため”か

第2回 叱り上手なママになるために
子どもには「怒る」のではなく「叱る」ことが大切とは、よく聞く話。でも、実際に自分がきちんと「叱る」ことができているか、自信がないママも多いのでは? 

「怒る」と「叱る」の違いについて、日本心理教育コンサルティング代表・櫻井先生はこう話す。

「『怒る』と『叱る』の違いは簡単に言うと、『怒る』が自分のため・自分の気持ちのためであるのに対し、『叱る』は相手のため、相手を思って注意する・アドバイスするということ。目的が、自分か相手かによって違うんです」(櫻井先生 以下同)

例えば、子どもが服に泥をつけたまま帰宅して家を汚した時、「こんなに汚して」と反応したとする。この時、まず自分がイライラしていなかったか、普段でも怒っている内容かを考えよう。「家を汚してはいけない」と叱っているつもりでも、いつもはそのことを気にせずにいて、単に自分の虫の居所が悪くて怒ってしまうということはある。

あとで振り返ってみて、「自分の感情で怒ってしまった」と思った時は、どうすればよいのだろう?

怒ると叱る、違いは“誰のため”か

「『ごめんね。ちょっとイライラしてたの』と、ちゃんと謝りましょう。怒られたままだと、子どものなかに『自分が悪い』という気持ちを育ててしまい、自己肯定感が低くなるんです」

さらに、親が子どもに自分の気持ちを話すことで、「人はいつも良い気分でいるものではない」「イライラすると、他人にキツく当たってしまうこともある」ということを理解し、「許す」気持ちを育てることにもつながるそう。

ただし、怒っていい時もあるという。それは、どんな時?

「例えば、子どもが道に急に飛び出した時など、大きな危険を伴う場合。それが仮に冷静に『叱る』のではなく感情的になってしまい、つい子どもを叩くなどの体罰になってしまったとしても、『自分の行動が事故つながりそうな危険なことだった』ということを子どもが学ぶので、問題ありません」

「アナタのためを思って」と子どもにいうママは多いけど、それが本当に子どものためなのか、それとも自分の気持ちだけなのか、必ず振り返ろう。叱った後には抱きしめる&優しく声をかけることをお忘れなく。
(田幸和歌子+ノオト)

お話をお聞きした人

櫻井勝彦
櫻井勝彦
日本心理教育コンサルティング
文学修士(社会心理学)、日本心理学会認定心理士、中央労働災害防止協会認定心理相談員。全国の学校・企業・自治体で心理学を活用した講義や研修、カウンセリングを行う。
文学修士(社会心理学)、日本心理学会認定心理士、中央労働災害防止協会認定心理相談員。全国の学校・企業・自治体で心理学を活用した講義や研修、カウンセリングを行う。