投資初心者が知っておきたい自分に合ったiDeCoの選び方

第3回 今話題のiDeCoで老後資金を効率良く貯められる?
老後資金をお得に貯められると今話題の「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、自分で加入する運営管理機関(金融機関)を211社(2018年2月14日時点)の中から選び、自分で運用商品を選ぶ制度です。運営管理機関と運用商品の選び方のポイントを、ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子がお伝えします。

投資初心者が知っておきたい自分に合ったiDeCoの選び方

加入する金融機関を選ぶ際の4つのポイント

iDeCoに加入できる運営管理機関(金融機関)は、銀行をはじめ証券会社、生命保険会社などがありますが、選ぶ際に着目して欲しい点は次の4つです。

1:運用商品のラインナップ
運営管理機関によって、取り扱う商品数は3本~64本と幅があります。定期預金などの元本確保型は最低でも1本は入っていますが、投資信託にも色々なタイプがあり、運営管理機関によって取り扱っていないタイプがあることに注意が必要です。主に、国内外の株式や債券に投資するタイプは多くの運営管理機関で取り扱われているのに対し、不動産に投資するタイプや、金に投資するタイプはほんの一部の運営管理機関でしか取り扱っていません。また、投資信託を保有している間にかかり続ける「信託報酬」にも注目したほうがいいでしょう。「信託報酬」は商品ごとに違うので、低い商品があるかチェックするようにしてください。

2:運営管理機関手数料
iDeCoに加入すると、掛金を拠出している間、最低でも毎月167円かかり、これ以外に金融機関に支払う運営管理機関手数料がかかります。運営管理機関手数料は運営管理機関によって、年額0~5400円と大きく異なり、資産形成のスピードに大きな差を与えるため要チェック。とはいえ、これらの手数料はどんなに資産が増えても一律です。一方、信託報酬は、資産が増えれば高くなりますので、信託報酬もチェックして、できるだけ両方が安いところで加入するのが良いでしょう。ちなみに信託報酬とは、投資信託を運営・管理してもらうための経費として、その投資信託を持っている間中、毎日資産から差し引かれる手数料のことです。商品によって異なるもので、純資産総額に対して「年0.1%」とか「年1.5%」などと割合で設定されています。

3:相談窓口
iDeCoを始めると、「掛金の引き落としはいつかな?」とか、「どうやって商品を変更するの?」など疑問が生まれます。そうした時に心強いのが運営管理機関のサポートセンター。たとえば電話受付時間も、夜も土日も受け付けてくれるところもある反面、平日昼間しか受け付けていないところも。また、対応もさまざまなので、加入前に一度電話してみるのも良いでしょう。

4:受取方法の種類
iDeCoで積み立てた資産を60歳以降に受け取る方法には、「年金」、「一時払」、「年金&一時払いの併用」の3種類があります。運営管理機関によっては、併用受取ができないところもありますし、年金で受け取る期間を1年刻みで最長20年まで選べるところもあれば、5年か10年の2択しかないところも。将来どう受け取りたいかイメージして、選択肢をチェックしておくと安心ですね。

投資ビギナーが運用商品をどう選べばいい?

<運営管理機関のナビサービスを使う>
投資商品を買ったことがない人が感じる大きな壁が「どうやって商品を選んだらよいかわからない」ということでしょう。最近では、多くの運営管理機関のウェブサイトで、年齢やリスク許容度に関する質問に答えると、自分に合った投資スタイルと、資産構成の割合を示してくれるナビサービスが提供されています。運営管理機関によっては、申し込みしたあとのマイページにて、このサービスを選ぶと自動的に該当する商品で構成してくれるところもあるので、上手に利用してください。よくわからないから…と100%定期預金にしておくのはもったいないですよ!

<自分で考える>
これまでに多少なりとも投資をしたことがあるなら、自分で考えて決めるのが一番!その場合の考え方は次のとおりです。

(1)すでに持っている資産すべての運用状況を洗い出す

(2)その上で元本確保型の割合を考える

少しでも殖やしたいと考えていて、現状資産のほとんどが預貯金など元本確保型で占めているのであれば、iDeCoでは元本確保型の割合を減らすと良いでしょう。また、すでに課税口座で株や投資信託などをしている人は、元本確保型の割合を最小限にして、非課税で運用できるiDeCoにて同内容の商品を買い付けるなど、優先的にiDeCoを活用したいですね。

(3)運用商品の配分を決める

ポイントは「値動きが逆になる資産」、「値動きの大きさが異なる資産」に分散すること。たとえば、株式と債券、国内と海外といった関係です。一般的に株式ファンドが上がる時には債券ファンドは下がる傾向にあるため、全体のリスクを抑えることができます。また、株式ファンドの値動きは大きい一方、債券ファンドは値動きが小さいというのが特徴です。そこで、この2つを組み合わせると値動きがならされるので、株式ファンドだけよりも値動きのブレが小さくなります。

以上をふまえた上で、「分散」を意識して、次の4つのポイントを考えて運用商品を選びましょう。

●投資対象:株か、債券か、株と債券が両方入ったバランス型か
バランス型といって、1本の投資信託に株と債券など複数資産がパッケージされているファンドもあります。

●投資エリア:国内か、海外(先進国・新興国・世界全体)か

●運用スタイル:インデックス型か、アクティブ型か
インデックス型は「平均的な成績を目指す運用スタイル」のこと。一方アクティブ型は、その指数を上回ることを目指す「積極的運用スタイル」のことです。アクティブ型のほうがリターンを大きく見込めますが、その分リスクも高くなります。また、一般的にインデックス型の方がコストを低く抑えられます。

●コスト
同じような運用スタイルのうち、コスト(販売手数料、信託報酬)の安いものを選びましょう。

商品を途中で変えることはできる?

iDeCoでは運用商品をいつでも変更することができます。変更方法は2つ。ひとつは「配分変更」といって、毎月の掛金で買い付ける商品や割合を変更することです。いつでもネット上で変更でき、手数料もかかりません。あくまでこれから積み立てる内容を変更するだけなので、これまで積み立てた資産について、商品構成の割合は変わりません。

もうひとつは「スイッチング」といって、これまでに積み立ててきた資産の商品構成を変更することです。たとえば、あるリスク商品の利益分だけ売却して、その資金で元本確保型商品を買うことで利益を確保できます。また、長く続けていくと掛金の配分割合と、資産の割合にズレが生じてくるため、その調整をする作業(リバランスと言います)も「スイッチング」で行えます。

このスイッチングにも手数料はかかりませんが、商品によっては解約や売却に伴って手数料がかかりますので、ご注意を。また売却や購入にはそれぞれ日数がかかるので、その間に情勢が大きく変わったときなどに影響を受けることもあります。

商品選びは難しく感じますが、あとから変更もできるので、まずはいくつか組み合わせて選んでみましょう。どうしても難しい場合は、前述のバランス型から選べば、1本で簡単に分散投資ができますよ。

以上、iDeCoの加入機関と運用商品の選び方をお伝えしました。働いている
人が老後資金を作るには、節税できて強制力のあるiDeCoは最強の仕組みと言えます。まずはできる範囲で始めてみてはいかがでしょうか?

(文:鈴木さや子 編集:ディライトフル)

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