マンガのネタになる出来事がないほど、パートナーと順調〜森もり子×さわぐちけいすけ対談 後編
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

マンガのネタになる出来事がないほど、パートナーと順調〜森もり子×さわぐちけいすけ対談 後編

第12回 アリシー作家連載陣企画
Twitterのフォロワーが10万人を超え、アリシーでも好評連載中の人気マンガ家、森もり子さんとさわぐちけいすけさん。今年30歳という節目を迎え、仕事やプライベートにはどんな変化があったのでしょうか。対談後編ではお二人のSNS活用術からプライベートの姿、結婚観など、気になる素顔に迫りました。

■深夜にくだらないことをつぶやいて、翌朝彼女に怒られる

▲左から森もり子さん、さわぐちけいすけさん
——お二人はTwitterのフォロワーが10万人を超えていますよね。SNSとの付き合い方って、どんな感じですか?

森もり子(以下、森):フォロワーが12万人くらいまでは結構がんばって増やそうとしていたんですけど、だんだんやる気がなくなって、今11万7千人くらいです(※2018年7月末現在)。仕事の告知ツイートに疲れて、「もっと普通のことがつぶやきたい」みたいな。

さわぐちけいすけ(以下、さわぐち):森さんのツイート、すごく面白いですよね(笑)。この間「過去の積み重ねの上に今の自分があるって考え方が苦手だな」っていう森さんツイートを見て、「わかる〜!」って思った。

森:そういうくだらないツイートがしたいんですよね。基本的に寂しいんですよ。深夜に暗い気持ちでツイートして、朝彼女から怒られるんです。「こんなツイートを見らたら、仕事をあげたいと思う人が引いちゃうでしょ、消して!」って。両親も見ているみたいだし、恥ずかしい……。

さわぐち:僕は完全にビジネスアカウントなんですけど、同じく両親も見ていて、挙句の果てにエゴサーチまでしていますよ。「あんたのアンチ、最近元気がなくてつまらない」って。そりゃ1年も叩いていたら飽きるだろう、と思うんですけどね。

森:さわぐちさんのマンガは、結構叩かれやすい作風なのかな?

さわぐち:偉そうに捉えられちゃうのかな、と思います。だから仕方ない。僕はアンチより、むしろ自分を買いかぶっている熱狂的なファンの方が怖いです。

——フォロワーが多いと、いろいろと気を使わなくてはいけないのですね。

さわぐち:そうですね。今17万フォロワーまで行ったんですけど、ここに来るまで結構計算しながらやってきたので、疲れちゃいました。

森:わかる。僕もバズらせるために一定の間隔で、同じような時間に、同じようなコンセプトのマンガをツイートして……と繰り返し続けていたらフォロワーが増えたんです。でもそうやって増やしたフォロワーの人たちって、「もっともっと」って先を期待するんですよね。これをずっとやり続けるのって結構大変なんじゃないか? と気づいて、それから無理するのをやめました。

さわぐち:わかります。僕は「通常業務、通常業務」って言い聞かせながらやっています。

■夫婦仲が良さすぎて、ネタにならないのが悩み

——お話は変わりますが、今年でお二人とも30歳になられますよね。心境や環境の変化はありそうですか?

さわぐち:僕は特にないですね。30歳が大台と言いますが、ずっと地続きだと思っています。

森:僕は信じられないです、自分が30歳になるのが。きっと自覚がないまま過ぎていくんだろうな、という感覚はありますね。32〜33歳になってから初めて30代に入ったんだと気づくものだって、テレビで博多華丸大吉さんが言っていました(笑)。あ、でも今度僕結婚するんです。

——それはおめでとうございます! プライベートでの大きな変化って、作風に影響しそうな気がしますが、いかがですか?
森:確かにプライベートによって描く内容は結構変わってきていて……。今は彼女と一緒に暮らしているんですけど、1年前、一人暮らしをしていた頃のままだったら、こういう内容は描いていないだろうな、というのは感じることがあります。さわぐちさんも、そういうことってあります?

さわぐち:僕はあまりないかなあ。僕たち夫婦って、今まったくトラブルがないんですよ。だから良くも悪くも、マンガに影響しようがない。まずネタになりそうな出来事自体が起こらない。ゼロの状態から絞り出して描いているんです。もっと不幸になった方がネタになりやすいのかな、と考えたりしますけどね。
周りからは、喧嘩をしないというと驚かれるんですが「みんなそんなに喧嘩するの?」と疑問に思って。そんな疑問から、話を広げている感じです。森さんは彼女さんとは喧嘩します?

森:いたって平和です。彼女もマンガ家なので24時間一緒にいますが、お互いの仕事を手伝ったりしながら、基本的には仲良くやっています。

■愚痴を言いながらでも行動を起こすことが大事

——お話を聞いてたら、結婚っていいなあと思いました。アリシー読者にも「この先結婚したいけれどできるのかな?」と悩んでいる女性もいると思うのですが、何かアドバイスをいただけますか?

さわぐち:夢を壊してしまうかもしれませんが、結婚と幸せの関係性はまったくないと僕は思っています。誰か好きな人がいて一緒に生きていくうえで、手続き上、結婚という形式があった方が便利かなくらいの認識ですね。書面一つの問題。だから、結婚したから何かが変わるとか、何かが始まるという考え方は危険じゃないかな。

森:厳しいな……。

さわぐち:順番がおかしいと思うんですよね。何も始まっていな状態から、いきなり「結婚したい」という発言が出てくる意味がちょっとよくわからない。まあ、社会が植え付けた「結婚=幸せ」というイメージが先行しているんだろうと、いうのは想像できますが。森さんはどう思いますか?

森:基本的にはさわぐちさんの言うとおりだと思うんですが、出産・子育てがその人にとっての幸せとしてあるなら、結婚に対して焦る気持ちは理解できるんですよね。じゃあどうすればいいか、うーん……。あっ、マッチングアプリだ! 

——突然すごく生々しい単語が出てきましたね(笑)。

森:僕の知り合いの女性が、ここ1年で10人も会わないうちに結婚相手にめぐりあいましたから。

さわぐち:最近のマッチングアプリって、昔の出会い系と違って評判がいいですよね。森さんの話とは逆なんですが、僕の友達はペアーズで3人の男性と会って、楽しく食事をしたらしいんですが、その結果「私、別に結婚したくないんだ」って気づいて退会したそうです。マッチングアプリを利用したことで、思いもよらず自分の本心に気づいた、みたいな話です。

——深いですね……。

さわぐち:だから、「結婚したい」と言って何もしないよりは、愚痴を言いながらでも具体的に行動を起こすことが一番大事なんじゃないですかね。自分の「やる気」って信じない方がいいですよ。僕も、やる気が出るのを待っていて、出た試しがないですから(笑)。

森:人は人。そう思って、あまり頑張りすぎないで欲しいですけどね。みんな、幸せになってもらいたいです。

さわぐち:きれいにまとめようとしましたね(笑)。「幸せ」って現状とは関係なく、考え方次第だと思います。まずはとりあえず何か始めてみて「もしダメだったらやめよう」というくらいのフットワークの軽さでいいんじゃないでしょうか。

(波多野友子+アリシー編集部)
アリシー 編集部
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アリシー編集部は、30代を目前に漠然とした不安を抱くも、なかなか一歩前に踏み出せない女性(=いもむし女子)に向けて、いつもの日常がちょっと豊かになるようなコンテンツを提案しています。きっと自分らしい生き方を見つけるきっかけになるかも。
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女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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