好きな食べ物が突然NGに!? アナフィラキシーは大人も要注意
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

好きな食べ物が突然NGに!? アナフィラキシーは大人も要注意

2月20日はアレルギーの日!
2月20日は「アレルギーの日」。そこでアリシーでは今回、誰にでも起こりうる「食物アレルギー」について取り上げてみたいと思います。

今までは食べられていたフルーツや、甲殻類などの食べ物が突然食べられなくなる食物アレルギー。実は、死に至る恐れもある、とても怖い病なんだとか……。よく耳にする病のひとつですが、意外に知らない人も多いのでは? そこで、成人アレルギー疾患の診療を担当している埼玉医科大学病院アレルギーセンター長の永田真先生に、食物アレルギーについてお話を伺いました。

■大人になっていきなり生じる食物アレルギー

──まずはじめに、食物アレルギーとは何かを教えてください。

「食物アレルギーとは、食物によって引き起こされる免疫反応により、身体に不利益な症状が出る現象のことを指します。

食物アレルギーは子どもによくみられる症状と思いがちですが、実は大人になってからも発症し、今まで普通に食べていた食品がある日突然食べられなくなってしまうこともあります。それは、成長過程で色々なものを摂取することにより『IgE抗体』と呼ばれる反応物質を作られることなどが原因と考えられます。

──具体的にはどんな症状が出るのでしょうか。

「よく見られるもののひとつに、唇や口の中にイガイガ感やかゆみ・腫れが起こる口腔アレルギー症候群があります。この時に該当する食物を避ければ症状が治まるようでしたら、すぐに医療機関を受診する緊急性はありません」

■悪化するとアナフィラキシーに。最悪の場合、死に至ることも

──症状が悪化するとどうなりますか。

「アナフィラキシーという重篤な病態を呈することがあります。この場合、身体に蕁麻疹のようなかゆみが出る皮膚症状から始まります。

その後、食物が内臓器官で反応して腹痛や下痢を引き起こしたりすることがあります。皮膚症状、消化器系の症状のあとに呼吸が苦しくなってきたり、血圧が落ちたりしてしまいます。これがいわゆる『アナフィラキシーショック』です」

──アナフィラキシーを引き起こして、死に至るケースもあると聞きますが、食物アレルギーを持っている人の中で、どれくらいの人がアナフィラキシーを引き起こすのでしょうか。

「口腔アレルギー症候群で治まる人は受診していないことが多いので、正確な数値は分からないのが現状です。

食物アレルギーによるアナフィラキシーショックで死亡するケースは国内でも、年に数十人程度と思われますので多いとは言えませんが、注意は必要でしょう」

■食物アレルギーを発症しやすいのは?

──『IgE抗体」ができてしまう人にはどのような特徴がありますか。

「もともとアレルギー反応を起こしやすい、アレルギー体質の人やアトピー体質の人が発症しやすいです。

まだまだ原因は解明中ですが、同じものを多く摂取しているとIgE抗体ができやすくなると考えられています。なかでも、果物によるアレルギー反応を起こす人が最近増えています」

■食後の運動には要注意

──食後に運動するとアナフィラキシーを起こすことがあるというのは事実でしょうか。

「はい、これは『食物依存性運動誘発性アナフィラキシー』と呼ばれていて、食後3時間以内に運動することで発症するアナフィラキシーです。

パスタやうどんなどの小麦製品や甲殻類を食べることで発症するケースが多いことが分かっています。該当する食物を食べるだけでは症状がなく、食後に運動することでアレルギー反応が増強されて発症します」

──この疾患を持っている人はどのように対処すれば良いのでしょうか。

「『食物依存性運動誘発性アナフィラキシー』は食後すぐに運動しないことが大事なので、該当する食物を日常的に食べても問題はありません。

ただし、食べてから3時間程度は運動せずにゆっくりと過ごすことが重要です。年齢を重ねるにつれて、坂・階段を駆け上がるだけでもそれなりの運動になりますし、慌てて走るだけでも刺激になってしまうので、細心の注意を払う必要があります」

■食物アレルギーが発覚したときの対策は

──食物アレルギーが発覚した場合はどうすればよいですか。

「何か食べた後に、口の中にかゆみやイガイガ感が起こった場合は、その食べ物は食べないようにしましょう。口腔内の症状だけではなく、身体に蕁麻疹が出る、呼吸が苦しくなるといった症状が出てきたら、速やかに医療機関を受診して専門医に相談してください。

専門医のもとでは、皮膚テストや血液中IgE抗体により被疑当該アレルゲンが陽性かどうかを調べます。成人している場合は原因である食物をピンポイントで回避することで発症を抑えられます。

また、アナフィラキシーには初期治療を自分でできる特効薬があります。アナフィラキシーを一度でも発症したら、特効薬である自己注射システム『エピペン』を処方してもらうと良いでしょう。

ただし、アレルギー科を標榜していても専門医とは限りません。処方資格を持っている医師でないと処方できないので、事前に確認をする必要があります」

■悪化させないためには、初期段階での治療が大切

──食物アレルギーを完治させることはできますか。

「アレルギー症状は体質が根本の原因であるため、完治は難しいです。

しかし、スギやダニによる単独のアレルギーであれば、アレルゲン免疫療法と呼ばれる治療があります。今はアレルギー専門医であれば、舌下剤の自己投与で治療が可能な舌下免疫療法というのが手軽にできます。

花粉症や喘息が軽症の段階で行うと寛解する(病状が落ち着く)ことがありますし、このような治療を早いうちに行うと、のちにアレルギーが広がらずに済む効果が期待できます」
一度発症したら、完治は難しいという食物アレルギー。しかし、医療の進歩により初期段階であれば寛解したり、特効薬を処方してもらうことができるそうです。食べ物の影響で身体にアレルギー反応が起きたら、まずは専門医に相談してみましょう。

(辻野祐馬+アリシー編集部)
アリシー 編集部
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アリシー編集部は、30代を目前に漠然とした不安を抱くも、なかなか一歩前に踏み出せない女性(=いもむし女子)に向けて、いつもの日常がちょっと豊かになるようなコンテンツを提案しています。きっと自分らしい生き方を見つけるきっかけになるかも。
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女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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