10年連れ添った彼と離婚した20代の私が選ぶ「結婚しない人生」
この記事は「アリシー」から提供を受けて掲載しています

10年連れ添った彼と離婚した20代の私が選ぶ「結婚しない人生」

第1回 20代の離婚白書
【20代の離婚白書vol.1】

■29歳で下した、1人になる決断。

はじめまして、ALICEY副編集長の藤田佳奈美と申します。29歳、独身ですが、恋愛期間を含め10年一緒にいたパートナーと今年の6月に離婚しました。子どもはいません。とりわけ離婚の決定打もありません。でも、離婚を選びました。

この連載は、結婚・離婚を経て30歳を目前に控えた私への、拙い経験を糧にするための備忘録です。まだ結婚の予定がないけど、いつか結婚したいと思っている同世代の女性にも読んでもらえたら、と思い筆をとっています。

今はスカイツリーと東京タワーが見える隅田川界隈に引っ越し、水面に映るタワマンの煌めきを眺めながら、ひとり酒で思いを馳せ、毎日なんとか生きています。

とは言いつつも、実は離婚してからの方が毎日充実しています。結婚していた時の方が一緒にいるのに寂しさを感じていたし、女盛りの魅力を持て余していました。

これは結婚していた時の話。
仕事をライフワークにしているフリーランスの私と、仕事もプライベートも大切にしている会社員の彼との会話は、お互いの仕事が忙しくなるにつれ、次第に成り立たなくなっていきました。彼は仕事とプライベートを分けたかった。私はプライベートも仕事も同じライン上で生きていた。

「今日仕事でこんなことがあってね(仕事が今の私の全て。どうか受け入れて)」
「うん、悪いけどそれまた今度でいいかな(家でまで仕事の話したくない)」

私の8割近くを構成している“仕事”に対する情熱を共有できないどころか、色っぽいエピソードすら完全に消失。そのうち自分らしさや自己肯定感も見失い、一番に認めて欲しい人の側にいながら、肯定されない悲しさを抱えて生きることは、とても切実で耐え難いものでした(実際は肯定されていたが、彼の愛情は私には伝わりづらかった)。

■ずっと一緒にいるには。

私は結婚している時、よく、「人生アガリ」「幸せなんでしょ、良いじゃん」みたいな不躾な言葉を浴びせられてきました。それは、仲の良い未婚の友人たちからも。でも、結婚したからといって愛情が恒久的に供給されるわけじゃない。だけど、多くの人は、相手が自分のものになったら、相手からの愛情を当たり前と感じてしまう。結婚したら安堵してしまう。私がそうだったから。

結婚には「夢」や「希望」の他に、「相手に対する期待度が高いからこその失望」「拭えない違和感」「淀み」などがたくさん詰まっていて、それらは小出しに、でも確実に溢れ出てきて、結婚生活を蝕んでいきます。それを、次第に慣れゆく愛情(結婚したら愛情は冷めるのではなく“慣れる”もの)でカバーできるほど、しっかりとした土壌は私たちにはありませんでした。

しっかりした土壌って、一緒にいた月日の長さでも、いつかの愛の約束でもない。じゃあどうやって土壌を築くかというと、それは“一緒にいるためにお互いが努力をし続けること”。愛し合っていたって、所詮は他人。ありのままの自分を愛してくれるのは親くらいなもんで、相手を慈しんだり思いやったり、自分磨きをしたりして、なんとか一緒にいられるものなんだと思います。

そして、その努力は、相手に見える形で行わないと何の意味も成し得ません。相手に伝わっていなかったら、それは伝えていないことと同義です。だから、努力して伝え続けることが大事なんだと、今になって思います。もちろん、その努力が、相手が求めているものと違ったら(そもそも求めていなかったら)、伝えたところで、水の泡。

■愛情表現が行き違う私たち。

それを痛切に感じたのは、離婚して今の場所に引っ越してきた翌朝のこと。ベッドからぼんやりハンガーラックを眺めていると、「ハンガーは黒で、かける服は白で統一したい」という自分の理想的住空間を思い描き始めたんです。

これは、結婚している時にはなかった感覚でした。結婚当初、彼と2人で暮らす家なのに、私にはインテリアのこだわりがそんなになくて、「あなたの好きなようにして良いよ」と彼に言ったことがあります。でもそれは、彼に選択肢を与えているようで、ただただ押し付けているだけだった。2人であーだこーだ言いながら決めていかなきゃいけないものを、2人の生活そのものを、実際は彼に丸投げしていた。一緒に暮らすための努力を怠っていた。

彼のことはとても好きで、その気持ちを素直に伝えることが私の愛情表現だったのですが、そんなことより彼は、一緒にカーテンの色を選びたかった。彼が求めているものと私が与えたいもの、その逆もまた、全部すれ違っていました。カーテンの色とか、本棚の配置とか、そういうものに対して一緒に頭を悩ますだけで良かったのに。

一緒にいるためには、同じ方向を見て努力しなきゃいけないし、相手に過度な期待はしちゃいけないし、でも、諦めちゃいけない。それが結婚。それは私にとって、とても難しいことでした。

■「1人で生きて行くかもしれない人生」を見据える。

私のように20代子ナシの身軽な離婚は珍しいのかもしれません。身軽、ではありますが、将来はやっぱり不安です。ましてやフリーランス。ましてやもうすぐ30歳。これから先も、1人かもしれない。

でも、1人になってわかったことはたくさんありました。2人で生きて行くにはたくさんのすり合わせが必要です。お互い異業種で多忙だと、そのすり合わせにはたくさんの時間と労力が必要です。摩擦して、消耗します。

そういう中で、私のように仕事をライフワークにしている働き盛りの女性は、きたる30という年齢にとらわれて、無理に結婚を選ばなくても良いと私は思います。努力なしには他人と共存はできないけど、それでも自分がある程度今の自分のままでいられて、生き生きできる相手じゃないと、努力しっぱなしのプライベートな関係はつらいだけ。結婚は仕事じゃない。カンフル剤としての喧嘩はあってもいいけど、それはお互い余裕がないと受け止められません。

もし、今、仕事に懸命に生きているなら、それを全うすることが「正」だと思います。仕事の成果は自分への自信につながるし、それがきっと自分を輝かす魅力に化けるから。そんな自分を好きだと言ってくれる人と出会えた時、その人のためにする努力は、きっと努力とも感じないもの。そういう関係性を築ける相手となら、もしかしたら。だから “今は”1人で生きる覚悟を持って、自分らしく、私は生きていたい。

(藤田佳奈美)
藤田佳奈美
藤田佳奈美
ALICEY副編 ●フリーの編集ライター、イラストレーター●オカメインコ溺愛 #今日のペッパー●だいたいマガジンハウスにいる●だいたい隅田川で飲んでる●発言は個人の見解@yakou_chuu_
藤田佳奈美@yakou_chuu_
藤田佳奈美
藤田佳奈美
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
創作ダンスや女子ひとり飲み、七号食ダイエットなど、興味はあるけど苦手なことに果敢に立ち向かうスタンスで頑張るのがモットー。 ジャンル問わない雑食系編集ライターでもあるが、最近は若者の離婚や恋愛離れなどの男女問題や、オカメインコ愛について語らせると暑苦しくなる。 だいたいマガジンハウスにいる。だいたい隅田川沿いで飲んでる。
女性向けに情報を発信するWebメディア「アリシー」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。グルメやファッション、マンガ・エッセイなどアリシーの一部コンテンツは、姉妹サイト「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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