ランボルギーニカウンタックとは
他の何物にも似ていない唯一無二の存在、スーパーカーの代名詞ともいえるのがランボルギーニカウンタックだ。製造していたのはイタリアにあるランボルギーニ社で、生産時期は1974〜1990年。総生産台数は2049台である。
「カウンタック」の発音の仕方は間違っていた
Countachの正しい発音は「クンタッシ」。イタリア地方の言葉で「驚きの感嘆」を意味する言葉だ。カウンタックと読んでいるのは日本だけだ。クンタッシは「感動」や「驚き」を意味するイタリア語で、ランボルギーニのプロトタイプを見たイタリア人スタッフの驚嘆の声が車種名になったとされている。
スーパーカーブームを牽引したカウンタックの歴史
カウンタックの歴史は、LP500から始まる。約17年の販売期間の中で、LP500シリーズ、ウルフ・カウンタック、クアトロバルボーレ、25thAnniversaryなどの名車が次々と生み出された。カウンタックの持つ独特のスタイルは、後継車種であるディアブロやムルシエラゴなどのランボルギーニのスーパーカーに脈々と受け継がれていくことになる。
現在でもランボルギーニ カウンタックが新車で手に入る謎
ランボルギーニ カウンタックは、現在でも新車で入手することが可能である。1990年の製造終了から25年以上経過しているにも関わらずだ。1990年前後はバブル真っ盛りであったため、投機対象として多くの実業家や商社がこぞって購入したことが関係している1988年に販売された「25thアニバーサリー」は、50台以上が新車として日本に輸入されたとされている。
伝説のランボルギーニ、ミウラSVR(イオタ)
1967年のジュネーヴ・ショーで披露されたのが「ミウラSVR(イオタ)」。ボブ・ウォレス、ジャンパオロ・ダラーラ、パオロ・スタンツァーニ、フェルッチオ・ランボルギーニの4人が中心となって制作されたモデルだ。もともとは20台前後の限定モデルの予定だったが、V型12気筒エンジンをミドシップに横置きにするというクリエイティブなアイデアが好評を博たことで量産化されたという経緯がある。なお、ミウラSVRはFIAの国際競技コードJ条に適合するように作られた経緯があることから、当初はプライベート ミウラと呼ばれていた。
ミウラと並ぶ超人気モデル、ウルフ・カウンタック
ミウラSVRと並び、スーパーカーブームの頂点に君臨したモデルが「LP500S」ことウルフ・カウンタック。「The king og kings」と呼ぶにふさわしい。石油王のウォルター・ウルフ氏が特別に作らせたことでも知られている。デザインを担当したのはミウラを世に送り出したジャンパオロ・ダラーラ、レーシングコンストラクターとして名を馳せ世界で最も成功したといえる人物だ。弱点だらけだったLP400を改良しようにも開発予算がない、そこで考えたのがウルフとのコラボレーション。ウルフのオーダーに応えながらエボリューションの開発を進めるというものだった。映画「蘇る金狼」の中で松田優作がドライブしていた車であることはあまりにも有名だ。
カウンタックの当時の新車の値段は
1971〜1990年までに製造されたランボルギーニカウンタックの新車価格は、2000〜2500万円であった。現在の紙幣価値に換算すると、5000万円以上の値がついていたことになる。
ランボルギーニカウンタックの型破りなデザイン
車高を低く、ワイドボディにすることで空気抵抗を減らす独特のくさび形シルエット。カウンタックは型破りなデザインを持つ車であるともいえる。デザインを手がけたのは、自動車のデザイン会社「ベルトーネ」のマルチェロ・ガンディーニ氏。彼はカウンタックだけでなく、「ブガッティ・EB110」「ランチア・ストラトス」「デ トマソ・ヌーヴァ・パンテーラ」などの名車を世に送り出したことでも知られている。
カウンタックを象徴する”ガルウィング”
カウンタックといえば「ガルウィング」を思い浮かべる人も多い。実はこの表現は間違っている。ガルウィングとはルーフとドアを接点に地面に対して垂直に開くものを指すため、ドアが斜め前方に開くカウンタックの場合は「シザードア」「ランボルギーニドア」「ジャックナイフドア」と呼ぶのが正しいのだ。
シザードアはフラッグシップモデルにも受け継がれているが、これは商標をランボルギーニが保有しているためだ。ディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドール、どのモデルのデザインをみてもカウンタックの面影を感じることができるのはシザードアに因るところが大きいといっても過言ではないだろう。1968年に誕生したガンディーニデザインのコンセプトカー「アルファロメオ・33・カラボ」にも採用されている。
ランボルギーニカウンタックから派生した言葉は他にもある。カウンタックの車内からは後方を確認できないため、バックさせる時はサイドドアを開けたまま体を乗り出さなければならない。この独特の姿勢こそが「カウンタック(クンタッシ)・リバース」と呼ばれる。
今は見られないリトラクタブルヘッドライト
リトラクタブルヘッドライトとは、車体の内部に格納できる前照灯のことで点灯時にだけ外部に展開される構造をしている。高速走行の際に空気抵抗が増すことや部品数の増加によるコスト増、安全性の問題などから採用している現行車はほとんどない。
当時のまま、レトロな感じが心地よいカウンタックの内装
進化を遂げるランボルギーニであるが、当時のレトロな雰囲気を受け継ぐ内装も見逃せない。備え付けのアナログメーター、時速320km/hまで対応するスピードメーター、手動で開閉しなければならないパワーウインドウ。シートにはリクライニング機能が備え付けられていないので、寛ぎながら乗る車ではないことも付け加えておこう。
歴史を引き継いだ現行モデル達
Urus
世界初のスーパー・スポーツ・ユーティリティ・ビークルが「Urus」。1986〜1993年にかけて販売されていたオフロード4WD LM002をもとに制作されたモデルである。アヴェンタドールやミウラなどを連想させるフードラインのフロント、ムルシエラゴのフォルム継承したルーフラインなどが特徴的だ。エンジンは4.0L V型8気筒ツインターボを搭載、最高出力は650馬力。停止状態から100km/hに達するまでにかかる時間は3.6秒、最高速度は305km/hにも達する。販売は2018年9月以降の予定で、価格は2574万円(税抜)。
Huracán (ウラカン)
2014年に販売されたのが、ガヤルドの後継車となる「ランボルギーニウラカン」。車名はハリケーンを意味するスペイン語に由来している。宝石を連想させるフォルムや折り鶴からインスピレーションを受けたとされるルーフなど、エレガントなエクステリアが特徴的だ。V型10気筒NAエンジンを搭載、最高速度は325km/hに達する。新車価格は2970万円。
Aventador(アヴェンタドール)
2010年に生産が終わったムルシエラゴの後継車として発表されたのが「Aventador」。低く身構えたフロント部、サイドにある大きなエアインテーク、カメムシから着想を得たとされるエンジンフードなどが特徴的だ。エンジンは6.5L V型12気筒 DOHC 48バルブ 最高出力 515kW(700ps)/8,250rpm最大トルク 690N·m(70.3kgf·m)/5,500rpm。プッシュロッド式のサスペンションと、7連セミATのトランスミッション。日本での販売価格は4197万3750円である。
ワンオフ
ランボルギーニ初のワンオフカー「レヴェントン」が披露されたのは、2007年のフランクフルト・モーターショーでのこと。その後、2009年に「レヴェントン・ロードスター」、2012年に「ヴェネーノ」、2013年に「ヴェネーノ・ロードスター」が発表されている2016年にはフェルッチオ・ランボルギーニの生誕100週年を記念した「チェンテナリオ」が40台(クーペ20台、ロードスター20台)という限定数で制作された。
コンセプトカー
メーカーの技術力や今後販売する車の方向性を示すために制作されるのが、コンセプトカーだ。フランクフルト・モーターショー1987での「ポルトフィーノ」、モンディアル・ド・ロトモビル2008での「エストック」、パリ・モーターショー2014で発表された「アステリオン」などがある。
歴史を彩る素晴らしい歴代モデル達
カウンタック歴代モデル1. LP400
ランボルギーニカウンタック最古のモデルが「LP 400」。LPとはミドシップ縦置きを意味する「Longitudinale Posteriore」の頭文字からとられている。パオロ・スタンツァーニ氏を中心とするメンバーらが開発、製造期間は1974年4月〜1978年、総生産台数はわずか150台だ。 新車価格は5万2000ドルほどだったが、マルチェロ・ガンディーニ氏のオリジナルにデザインが近いことからプレミア価格がつき、近年では億単位の価格で取引される事も珍しくない。
カウンタック歴代モデル2. LP400S
製造時期によって3つのシリーズに分けられているモデルが「LP 400S」。製造期間は1978年3月〜1982年、総生産台数は235台。シリーズ1は、1978年から1979年までの間に製造されたシリアルナンバー(1121002〜1121100)までの50台。ボディはLP400から受け継いだローボディを採用、15インチホイールはマグネシウム製でカンパーニュロ製のブラーボホイールとOZ製の2種類がある。インテリアはLP400と同じ8連メーターだ。シリーズ2は、シリアルナンバー(1121102〜1121310)までの105台。ボディはシリーズ1と同じローボディを採用しているが、ホイールがOZ製のアルミへ、メーターも8連から7連へと変更されている。シリーズ3は、シリアルナンバー(1121312〜1121470)までの82台。難のあった乗降性を改善するためにローボディを廃止。着座位置を3cm高くしたことに伴い、ルーフの形状にも変化が加えられた。発売当時の新車価格は8万5000ドル、現在では23万〜43万ドルで取引されている。
カウンタック歴代モデル3. LP500
1966年に発売された「ランボルギーニ ミウラ」の後継モデルが「LP 500」。1971年のジュネーヴ・ショーで発表されたモデルだ。アバンギャルドなデザインや高性能なエンジンなどが話題になったが、エンジンの冷却効率の悪さからオーバーヒートが頻発。問題の根本解決には至らなかったため、市販はされなかった。
カウンタック歴代モデル4. LP500S
LP500の誕生から11年後の1982年に発表されたモデルが「LP500S」。販売期間は1982年3月〜1985年3月、総生産台数は323台。インテリアのデザインはアバンギャルドだったLP500からは大きく方向転換、3本スポーク式のステアリングと7連メーターが採用された。エンジンは4754cc、最高出力375hp/7,000rpm・最大トルク41.7kgm/4,500rpmで最高速度は287km/hに達する。発売当時の新車価格は10万2000ドル、現在では28万〜44万ドル前後で取引されている。
カウンタック歴代モデル5. LP Turbo S
1984年に2台のみ生産されたモデルが「LP Turbo S」。エンジンに4.8LツインターボV12を搭載したことで、758ps/876Nmもの爆発的なエネルギーを生み出すことができた。停止状態から100km/hまで加速するのにかかる時間は3.7秒、最高時速は335km/hという現代のスポーツカーに引けを取らないマシンである。
カウンタック歴代モデル6. LP5000QV(Quattrovalvole クアトロバルボーレ)
フェラーリのテスタロッサに対抗して制作されたモデルがLP5000QV(Quattrovalvole」。
イタリア語で4を表すQuattroと、バルブを表すvalvoleが車名に採用されている。販売期間は1985年3月〜1988年9月、総生産台数は610台。V12エンジンを4バルブ化、排気量を5167ccまで増やすことで最高出力最高出力455hp/7,000rpm・最大トルク51kgm/5,200rpmにも達した。発売当時の新車価格は10万ドル、現在では50万ドル前後で取引されている。
カウンタック歴代モデル7. 25 Anniversary(アニバーサリー)
ランボルギーニの25週年を記念して制作されたのが、最後のモデルとなった「25th Anniversary」。生産期間は1988年〜1990年で総生産台数は657台。ベースとなった5000QVと大きな違いはないが、リアウィングが廃止になったことは特記に値するだろう。100km/hまでの加速時間は4.7秒、最高時速は295kmを誇る。発売当時の新車価格は14万5000ドル、現在では13万〜26万ドル前後で取引されている。
カウンタック歴代モデル8. エボルツィオーネ
最も稀少で究極のマシンといっても過言ではないのが、1987年に制作された「エボルツィオーネ」。開発の指揮を執ったのは、後にパガーニの創設者となるオラシオ・パガーニだ。シャシーやボディには専用のものを採用、カーボンファイバーを多用することで980kgという超軽量ボディを実現。ヘッドライトやワイパー、エアコンなどが省かれるなど、走行実験のためだけに制作されたモデルといえる。エンジンはQVと同じ5167ccのものを採用していたが、490psまでチューニングを施したことで最高時速330km/hを記録した。
ランボルギーニ カウンタックを手に入れる
AD PERSONAM、自分だけのカスタムしたランボルギーニを
「AD PERSONAM(アド・ペルソナム)」とは、ランボルギーニ社が行っているパーソナライゼーションプログラムのこと。顧客の希望に沿ったスタイルへのカスタマイズを行ってくれるオーダーメイドシステムというと分かりやすいだろう。
ランボルギーニ カウンタックの中古車市場での価格は
カウンタックの中古車価格は「ask」と表示されていることが多いが、これは相場によって価格が変動するためだ。初期型の「LP400」であれば1億円以上、「LP500S」「25th Anniversary」「QV」であれば3000万以上を見積もっておくことをおすすめする。
ランボルギーニ カウンタック、維持・修理費も考慮に
カウンタックを所持したいと考えているのであれば、維持・修理費から目を背けることは出来ない。維持費は自動車税+自賠責+車検費用でおよそ年35万円前後、この金額に任意保険やガソリン代、駐車場代などが別途加算される。修理費は日本車よりも高額なため、万が一の時のために十分な額の貯金が必要なことも知っておく必要があるだろう。
ランボルギーニ カウンタックのレプリカなら気分は本物に
本物はとても買えないと嘆いている人には、レプリカをおすすめする。レプリカとは本物のスーパーカーそっくりにつくられた車のことで、完成車だと1000万円前後で販売されている。ただし、国内でレプリカに乗るためには適正な手順を踏み保安基準を満たさなければならない。
ランボルギーニ カウンタック、見て楽しむなら
ランボルギーニ カウンタック トミカ(ミニカー)
1/18や1/43スケールで再現されたトミカが、販売されている。1/43スケールでは、精巧に作り込まれたインテリアやエンジンルームなどを楽しむことができる。ランボルギーニ独特のシザードアやエンジンフードなどはフルオープンも可能だ。
ランボルギーニ カウンタック ラジコン
「タミヤ」「童友社」などのメーカーから、1/14や1/10スケールのラジコンが販売されている。販売価格は5000円前後だ。
ランボルギーニ カウンタック プラモデル
「タミヤ」「青島文化教材社」「フジミ模型」などのメーカーが、1/24スケールのプラモデルを販売している。販売価格は4000円前後だ。