「怒り」は対処できる!大人の癇癪(かんしゃく)との向き合い方
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「怒り」は対処できる!大人の癇癪(かんしゃく)との向き合い方

第6回 【アンガーマネジメント】怒りをコントロールしよう
「あの時怒らなければ」「怒りを堪えられたら」という経験をお持ちではないだろうか。日常生活や仕事の中で「怒り」の感情に襲われることは誰しもがあることだろう。実は、しっかりと向き合うことである程度コントロールできる「怒り」もある。理解を深めるこで、部下との関係、恋人との関係などに活かしてほしい。

そもそも「怒り」という感情はなにか?

「感情」の役割を知る

感情とは人に自分の状況を伝えるためのわかりやすいシグナルである。中でも「怒り」という感情は人間誰しも持ち合わせる強い感情である。

怒り・癇癪(かんしゃく)の原因は?

人は怒りを覚えると、気持ちを抑えることが大変だ。普段ではしないような突発的な行動に出てしまうこともある。自分でも制御できないほど怒り狂っている状態が「癇癪(かんしゃく)」と呼ばれる状態だ。「強い怒り」と表現することもできる。怒りや癇癪の原因は「瞬間」か「意味付け」かの2つに大別される。

瞬間に起こる怒り

瞬間的な怒りとは認知を介在しない怒りだ。感情を司る大脳辺縁系の刺激から突発的に現れる。「親友に裏切られた」「彼女に浮気をされた」「横を走っている車に割り込みされた」など考えるよりも先に怒りの感情が芽生えた経験は無いだろうか。突発的な行動を取ってしまいやすいのもこの瞬間に起こる怒りである。

意味づけによる怒り

もう1つは意味付けによる怒り。「よくよく考えたら腹が立ってきた」という怒りの種類であり、認知を介在している。きっかけとなる出来事が起こり、その事に対し怒りの感情が芽生え、理解を経たのち表現や行動として現れる。思考を司る大脳皮質や前頭葉の刺激が関係している。

怒りの性質を知る

怒りにはいくつかの性質が存在する。

本人としては冷静なつもり

第3者からすれば、怒っているようにみえる。表情も言動も声のトーンもすべてにおいて怒っていることが一目瞭然だとしても、本人はそのことに気がついていないことがある。これこそ、分かりやすい特徴の1つであり、怒りという感情は自分を客観視する「目」を奪い去るのだ。つまるところ、怒っている当事者に対して「冷静になれ」「そんなに怒るなよ」という発言は逆効果である。

知能指数(IQ)を下げる

怒りで周りが見えなくなるのは、怒ることで知能指数が下がるからだ。怒りという濃霧に覆われている状態では、相手の立場に立って考えることも論理的に思考することもできなくなってしまうのである。

「怒り」を放っておくと体にも悪い

ストックホルムで男性サラリーマン約2700人を対象に行われた調査によると、怒りを溜め込む人は心臓病を発症するリスクが上がることが分かっている。怒りを溜め込むことはストレスにもなり、ストレスは心臓病以外にも様々な病気の発症原因となる。怒りをそのまま放置することは身体にとってよくないことである。怒りをうまくコントロールする術を学ぶか、そもそも怒りを感じないような考え方をインストールするか、またはその両方ともが必要になる。

「怒り」「癇癪(かんしゃく)」をコントロールするには?

怒り・癇癪(かんしゃく)は自分でコントロールできるのか

怒りや癇癪を自分でコントロールすることは可能だ。たとえば怒りのピークは「6秒間」しか続かないという。つまりこの6秒間の制御ができれば、突発的な行動や感情に任せた言葉を発さずに済むのだ。この怒りを感じた際の対処のことを「アンガーマネジメント」と呼ぶ。

アンガーマネジメント

深呼吸する

自分の内部に怒りという感情が湧き上がってくるのを感じたら、まず「深呼吸をする」ことを心がけよう。深呼吸には心を落ち着かせる効果があるので、怒りの6秒を深呼吸で埋める習慣は大切だ。

自分の「怒り」のタイプを知る

怒りには先に示した通り、瞬間的なものとジワジワくる2種類が存在している。ただ人間の感情は複雑だ。どちらか両極端のタイプに誰しもの怒りが当てはまることは当然無い。怒りのタイプを更に細かく合計6種類に分けることができる。

自分の怒りの度合いを知る

怒りのタイプがわかった後は、どのくらい怒っているのかを把握するとよい。過去最大に怒った経験を「10」として、今の怒りはいくつになるだろうか。

場所を変える

散歩をしたり時間があれば自然多い場所に旅行したりすることも怒りのコントロールには効果的だ。

落ち着く言葉を唱える

「これを言えば落ち着くのだ」と事前に決めておくと良い。頭のスイッチを切り替える魔法の言葉を用意して、怒りを感じたら思い出すように脳にシステムを仕組んでおくのだ。

体を温める

体を温めることも落ち着いて怒りを抑えるための有効な手段だ。お風呂の湯船にしっかり浸かることや日光浴など方法やたくさんある。スポーツをして体を温めることもよい。

寝る

怒りの感情は時間が経つにつれて静まっていく。ある程度怒りがおさまってきたら、思い切って寝てしまうことも良い対策といえる。目覚めて朝日を浴びている頃には、怒りの感情もすっかり晴れていることも多い。

体調を整える

体調が悪いと、間接的に怒りを増幅させてしまう。「こんなときになんで体調も悪いのだ」と理由もなく怒りの原因に追加されがちだ。

ストレッチする

体の凝り固まった箇所をほぐすことで快感を得られる。ストレッチをすると気持ちがリフレッシュするため、怒りの感情を抑える効果も期待できるはずだ。

ツボを押す

「百会(ひゃくえ)」という頭頂部にあるツボが怒りを静めるのに効果的なツボといわれている。両手の中指で気持ちの良い力加減でゆっくりと押すと効果が出やすい。

今に意識を集中し、意味付けを変える

過去の経験やまだ起こっていない未来のことで怒りを覚える人もいる。手に入れたいものがあるのに中々手に入らないもどかしさから怒る人もいる。この怒りをおさめるのに有効なのは今に意識を向けることだ。過去は戻らず、未来は必ずしも叶わない。どちらの制御不能なものだと割り切って、今に意識を集中することで過去や未来の怒りはどこかに消えてしまう。もっと高い点数を取りたい。何が何でも1番の評価を得たい。と考えて怒りがこみ上げてくる人は承認欲求が過剰なことが怒りの原因だ。「できない自分」ばかりがみるのではなく「できるようになった自分」を想像して今に集中するべきだ。

イライラしてしまっては何事もうまくいかない。視野が狭まり、普段できることもできなくなってしまう。このアンガーマネジメントは日常生活多くの場面で役に立つはずだ。ドライブ中のアンガーマネジメントについては以下の記事では紹介している。

「怒り」を予防することも重要なポイント

怒りを覚えてからの対処法であるアンガーマネジメントも重要だが、そもそも怒りを感じにくい精神を構築することも大切だ。ここでは怒りの「予防」にスポットを当てる。

怒りを手放すための考え方

ブッダは怒りを覚えるような言葉を相手から言われた時、「その”食事”は受け取りませんよ」と相手をつき返したという。”食事”とは相手の怒りのことで、怒りはこちらが受け取らなければ相手のもののまま。結局のところ怒りを受け取らないようにすれば、怒りを覚えることもないという考え方だ。

そうはいっても怒りを覚えることは人間誰しもがある。怒りを覚えてしまったこと自体は「当然である」と受け入れることは大切だ。そして、自身を含めて「誰が悪い」と追求しないことも重要。怒りは矛先を向けた瞬間、制御不能な猛威を奮ってしまうからだ。

相手に怒りの原因を正しく伝えることがポイント

恋人への怒りや職場関係内での怒りはうまく解決したいところ。その場合は怒っている感情を伝えるのではなく「怒りの原因」を正しく伝えることが大切だ。怒ったこと自体の共有をするとその時の感情に焦点がいき、知らぬ間にヒートアップしてしまう。「怒りの原因」を冷静に共有することが次の再発防止に繋がるのだ。

相手の「怒り」に対処するには?

自分の中の怒りの感情だけでなく、相手の怒りに直面することもあるだろう。部下の怒り、恋人の怒り。対処を誤ると大きな誤解を招くこともありえる。

相手の「怒り」を正しく理解する

相手の怒りをおさめるときにはとにかく聞き手に回ることが大切である。ここでも自分の怒りの時と同様に、相手の「怒りの原因」をきちんと理解することが重要だ。丁寧にヒアリングを行い、原因が共有できたことを相手に示しながら反応を伺う。「自分が怒っている原因が共有できた」と相手が思えば、その後の建設的な議論がしやすい。

障害や疾病による怒りはコントロールが難しい

ここまで怒りをコントロールする話をすすめてきたが、必ずしもすべての怒りが思うようにコントロールできるとは限らない。どうしてもコントロールできないケースもあるということを理解することも重要なことだ。

ADHD

ADHDとは多動症とよばれる発達障害の1種。「動きに落ち着きがない」「思ったことをすぐに口に出す」「忘れ物、無くしものが多い」などが特徴的な症状で、行動のコントロールが難しくなる。その特性上、人間関係のトラブルも引き起こしやすいといえる。

間欠性爆発性障害

癇癪を起こしたときに攻撃性が特に高く、その頻度も数え切れないほどある場合には「間欠性爆発性障害」という障害も考えられる。

障害や疾病には相談・治療機関もある

精神疾患を抱える患者数は決して少なくない。精神科や専門のカウンセリングへ行く前に、まずは誰でも気軽に相談ができる機関がある。「保健所」と「精神保健福祉センター」の2つだ。上記の施設は本人以外から電話での相談も受け付けているため、もしも周りに精神障害が疑われる知り合いがいる場合には相談してみるという選択肢もある。もちろん医療機関に足を運び、診断から投薬までの一連の治療をじっくりと受けて改善するという手も存在する。

Webメディア「éditeur」は、2019年6月13日をもってサービスを終了しました。一部コンテンツは、「ママテナ」に移管しております。引き続きお楽しみください。
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