進化し続けるBMW M5の魅力に迫る
Mシリーズとは一体、何なのか
Mシリーズは、BMW M(モータースポーツ)社が開発しているスポーツセダンだ。セダンの傑作といわれる初代EクラスのボディーにSL譲りの5L V8エンジンを詰め込んでおり、マニアならずとも欲しくなる逸品だ。BMW M社は、BMWのレース部門を担当するモータースポーツ関連研究開発子会社である。
世界で愛されるBMW M5の特徴とは
紳士的な見た目とは裏腹に、最高出力、最大トルクが他のシリーズに比べずば抜けている。M5の特徴を発揮できる高速道路では、アクセルを踏むだけで性格が一変したかのような最高の走りが実現できるのである。見た目のカッコよさや一般道と高速道路での走りの違いに魅了されているようだ。
スーパーセダン、BMW M5の残してきた歴史
1984年に第2世代5シリーズとして初代M5が誕生した。M1のエンジンを改良した3,454cc、直列6気筒DOHCのエンジンを搭載。当時としては世界最速の4ドアセダンであり、最高速度は250km/h に達していた。1988年に3.6L 直列6気筒DOHCエンジンに5速MTの組み合わせで2代目がデビュー。3代目は1989年に登場し、5L V型8気筒エンジンが搭載された。
4代目には、幻のロードスター「BMW 507」をリスペクトして馬力を507にアップ。5代目はツインターボV8搭載の7速SMGが登場。30年以上の歴史を得て、現6代目が登場している。時代を経て、その時代ごとに進化しつづけているのがM5なのだ。次はさらに詳しくM5の旧モデルを見ていく。
BMW M5の旧モデルと共にその足跡を辿る
1991年
「m5 e34」はフルモデルチェンジした、ミディアムクラスサルーンBMW5シリーズである。E34にはS38エンジンを搭載したことで、排気量3535cc、319psを実現。翌1992年のモデルでは3795cc、340psに達した。
1998年
「E39」は、4ドアサルーンのみの販売である。V8型エンジンが搭載されたS62エンジンユニットにより、4941cc、400psまで改良された。0-100km/h 加速テストの記録は5.3秒となった。
2004年
【V10型エンジンを載せるE60】
V10型エンジンを載せてS85ユニットとなったE60の最高出力は507ps、52.9kg-mトルク。0-100km/h加速テストの結果は4.7秒であった。
2007年
【E61】
E61の最高出力は272ps、6650rpmとなっている。燃費がよくなり、CO2排出量を15%削減することに成功した。
【m5 ツーリング】
E34と同じツーリングワゴンタイプが販売された。内外装が一新され、車線逸脱警告、アクティブクルーズコントロールなども変更された。
2011年
【m5 f10】
F10型のM5が発売された。4395ccのツインターボV8と7速のSMGが組み合わさり、最高出力561ps、最大トルクは680Nm。0-100km/h 加速は4.3秒となっている。
2012年
【f10 パフォーマンスエディション】
イギリス向けに30台限定でパフォーマンスエディションが発売された。車内には、BMW Mパフォーマンスエディションの刻印がされている。限定色フローズンカラーとして、レッド、ホワイト、ブルーから選ぶことができた。
2013年
【M5 Mコンペティション・パッケージ】
2013年のマイナーチェンジでMコンペティション・パッケージが登場した。最高出力は583psとなっている。0-100km/h 加速は、スタンダード・モデルよりも0.1秒速い4.2秒となった。
【M5 Nighthawk】
わずか10台のみの限定発売となったM5 Nighthawkは、ボディー、エクステリアや装備がブラックで統一された。エンジン、サスペンション、ステアリングに専用セッティングを施している。一方、インテリアはサキール・オレンジのフル・レザーとカーボン・トリムによりブラックのボディーに映える派手目な演出となった。
2014年
【M5 30Jahre(F10)】
M5の生誕30周年を祝うモデルとしてM5 30Jahreが発売された。作られた300台のうちイギリスとアメリカでは30台ずつ販売された。最高出力599ps、0-100km/h 加速テストは3.9秒であった。
2016年
【M5コンペティション・パッケージ(F10)】
M5の流れを汲むスペシャル・エディションとして発売。アメリカでは正式販売がなかったものの、世界中で200台が販売された。値段は1,419万円、最高出力は599psである。ボディーカラーはホワイト、ブラックの2色となった。
【M5ピュアメタルシルバー(F10)】
M5コンペティション・パッケージの正式販売がなかったアメリカで販売された。値段は1,429万円とコンペディション・パッケージより高価となっている。ボディーカラーはシルバー1種類のみである。
新型BMW M5(F90型)が6代目として新登場
6代目となる新型BMW M5(F90型)が、2017年に登場した。M5シリーズ史上最強最速と謳われる魅力に迫ってみよう。
新型BMW M5の発売前のテスト車両がみせたポテンシャル
新型M5は4WD仕様となっている。DSCオン+4WDモードでの走行は、重いステアリングフィールで、フロントアクスルからも常に引っ張られている感覚があるようだ。アクセルを踏むと、安定した軽い走りのため、アウトバーンにもってこいだ。一方、MDM(Mダイナミック・モード)では、自動的にスポーツモードに切り替わる。軽さを実感できるステアリングホイールで、多少のタイヤの横滑りはあるものの、危険のないよう制御されている。
新型BMW M5の発売日とその価格
2017年1月12日に新型BMW・5シリーズセダンが公式に発表された。約7年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型5シリーズのラインナップは、全14モデルとなる。クリーンディーゼル搭載の「523d」やプラグインハイブリッド「530e」、4WDモデル「540i xDrive」などである。2017年2月11日から発売が始まっており、価格は599万円から1017万円となっている。
新型BMW M5のサイズは
新型BMW M5の全長は約5mである。歴代M5史上、最大のサイズとなっている。幅は約2m、全高は約1.5mである。
新型BMW M5の美しい外装・内装を探る
スポーティーでパワフルな外観と高級感漂うデザインを両立させた独特な美しいフォルムはあらゆる角度から人々を魅了する。また、疾駆する姿からは想像できないラウンジさながらのラグジュアリーな空間が内側に広がっているのが新型M5である。
外装
【エアインテーク】
大型のエアインテークによって、V型8気筒 Mツインパワーターボエンジンを効率的に冷却するための最適な空気の流れをつくることが可能になった。
【カーボンファイバー強化樹脂(CFRP)製ルーフ】
軽量で頑丈なカーボンファイバー強化樹脂(CFRP)製ルーフは、エンジン・フードに描かれた力強い2本のキャラクター・ラインからリヤまでをなだらかな曲線で繋いでいる。
【Mリアスポイラー】
スポーティーでパワフルな外観を際立たせる熟慮された形状のMリアスポイラーは、エアロダイナミクスの効果を高める重要な要素となっている。
内装
運転者や同乗者に気を配った様々な機能が備わっている。スポーティーな雰囲気をより一層醸し出せるよう、内装の一部を赤で装飾しているのも特徴のひとつだ。通常の5シリーズにはないレーシーな仕上がりになるよう、インテリアにもこだわっているのだ。
【大きな液晶ディスプレイ】
センターコンソールに設置された大きな液晶ディスプレイにより、車両に関する様々な情報を表示・設定することができる。
【ステアリング周り】
ステアリングに設置されているM1、M2ボタンで、個人に合わせた設定を保存し、切り替えが可能。エンジン、トランスミッション、サスペンション、M xDriveモードなどの設定を好みに組み合わせることができる。
【シート】
シートはメリノ・レザーを標準で採用している。前席のMスポーツ・シートは着座位置やサイドサポートを調整、バケット型のMマルチ・ファンクション・シートなどもオプションとしてつけられる。
電動調整機構付きのフロント・シートはドライバーと乗員がリラックスできるよう、フロント・マッサージ・シートが筋肉に適度な刺激を与えてくれる。身体の部位ごとにプログラムを8種類の中から選択できる。
【エアコン】
4次元クライメート・コントロールといわれる前後左右独立調整式のエア・コンディショナーで運転席、助手席と車両後方の空調を左右それぞれコントロールすることができる。花粉や粉塵の侵入を防ぐマイクロフィルター、一定以上の大気中の有害物質を感知すると内気循環モードに自動的に切り替わるAUE、日射量を感知して制御するソーラー・センサー、フロント・ウインドーの曇りを感知するミスト・センサーも装備されている。
【その他便利機能】
その他の便利機能としては、「デジタル・インストゥルメント・クラスター」「ワイヤレス充電器」「ヘッドアップ・ディスプレイ」の3つがある。デジタル・インストゥルメント・クラスターは、あらかじめ設定された手の動きに合わせて特定の機能を操作できるBMWジェスチャー・コントロールが搭載されている。コントロールディスプレイに表示される機能を直観的に操作できるようになった。
ワイヤレス充電器は、QIに準拠した携帯電話のワイヤレス充電器が装備されている。充電用カバーの使用でQI規格に対応していない携帯電話も使用できる。Bluetooth等の対応が可能となっている。
ヘッドアップ・ディスプレイは、ドライバーの視線の先にあるフロント・ウインドー上にオレンジ、黄、白などの鮮明なカラーで走行に必要な情報が投影される。M ビュー・モードが装備され、現在の車速、ルート案内、シフト・インジケータ、エンジン回転数を最適なシフト・チェンジのタイミングで知らせるライト付きのダイナミック・レンジ・カーブで表示される。
各機構の役割は?
ここで念のためクルマの各機構の説明をしておこう。各機構はもちろんデザインなどのクルマ全体の魅力にも寄与している。ただ各機構の役割を知ることで、M5に搭載される機構の機能的な重要さが理解できるだろう。
自動車のエアインテークとは?その効果は?
エアインテークとは、自動車など乗り物のボディー表面に設けられている空気の取入れ口である。主にボンネット上に設置され、車内に外気を取り入れることを目的としている。
エアインテークから取り込まれた外気は、熱を持ったエンジンや危機の冷却や車内の空気を入れ替えるために使用されるのだ。エア・インレット、エアスクープ、エアインテークダクトなどと呼ばれることもある。また、ターボエンジンの要ともいわれる過給機を冷やす役割のあるインタークーラーだが、熱源と接触するため、時間の経過とともに高い熱を持ってしまう。そのため、インタークーラーもエアインテークから取り入れた空気で冷やす必要があるのだ。
リアスポイラーとは?その効果は?
リアスポイラーとは、車の最後部のトランク部分に取りつけるエアロパーツのことである。車の最後部で前方からの気流をはねあげるような形状をしている。リアスポイラーには空気抵抗を低下させる役割があるため、ダウンフォースの恩恵を受けることができる。ダウンフォースは、高速走行時や高い速度域からの急ブレーキ、コーナリングの際に車を安定させる効果があるため、燃費向上効果も得られるのだ。
トランスミッションとは
トランスミッションとは、エンジンで作った動力を車輪へと伝達させ、ギアの組み合わせにより、トルクや回転速度を変換させる装置である。トランスミッションには、「マニュアルトランスミッション」と「オートマチックトランスミッション」がある。
ターボエンジンとは?
「ターボ」は、正式には「ターボチャージャー」という。日本語に訳すと、ターボは過給機と言われる。排気ガスの流れを使ってエンジンに空気を送り込む機構のことであり、エンジンの排気量以上のパワーを出すことができるのだ。ちなみに、ターボには空気を取り入れるための過給機が搭載されているが、NAは搭載されていない。NAとは、ノーマルアスピレーションの略で自然吸気エンジンの総称である。
スーパーサルーンと呼ばれるBMW M5の新型のスペック・馬力とは
新しく搭載された「M xDrive(インテリジェント4輪駆動システム)」と、600ps(441kW)もの最大出力を生み出す最新エンジンを搭載したことで、驚嘆に値するパワーや正確性・俊敏性を発揮することが可能となった。最大トルク750Nmの4.4LのV型8気等Mツインパワー・ターボ・エンジンは、わずかな時間で、停止状態から200km/h まで加速させる。すべてのニューBMW M5がヨーロッパ仕様車値で0-100 km/h 加速3.4秒をマークしている。
革新的なインテリジェント4輪駆動システム、M xDrive
アクティブMディファレンシャル搭載の4輪駆動システムM xDriveにより、味わったことのない体験ができる。新しく採用されたセントラル・インテリジェント・ユニットシステムにより、2WDのハンドリング性能と4WDの走行安定性を両立させている。
8速 M ステップトロニック・トランスミッション Drivelogic付
Drivelogicを搭載した8速 M ステップトロニック・トランスミッションは、入念に設定されたギアと素早いシフト・チェンジによってあらゆる速度域でのパワーを最大限に発揮できる。スポーティーでダイナミックなシフト・チェンジやスムーズなギアの切り替え、燃費を優先させる走りなど3つのシフト・プログラムから好みの走行スタイルの選択が可能である。
スーパースポーツに劣るとも劣らない動力性能
先代よりエンジン、トルク、加速が強化されているため、スーパースポーツ並みの動力がある。オプションのMドライバーズパッケージを装着すると、250km/h の紳士協定リミッターが解除されて305km/h まで達する。
新型プラットフォーム採用で100kgの軽量化
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使用した軽量の最新プラットフォーム「CLAR」の採用により、軽量化を実現。最新技術により、軽量エキゾーストシステム、アルミ製ボンネット、カーボンファイバー製ルーフ、新型バッテリーなど100kg以上の軽量化となった。
4.4LのV型8気筒ツインスクロールターボエンジン
サーキットにおける走行性能を追及するため、最高出力560PSを発揮する4.4LのV型8気筒ツインスクロールターボエンジンを搭載している。
燃費性能
公式には発表されていないが、前モデルと比較して高出力になっていることから燃費性能はさらに低下(前モデルは、燃費性能9.0km/L)するだろうと推測される。
限られた人しか手にできない新型BMW M5の特別車とは
新型BMW M5では限られた人しか手にできない限定販売車も用意されている。よりプレミアムな体験を求めている方はチェックしておこう。
新型BMW M5の中国限定車
上海モーターショーにて、BMW5シリーズ(G30)のロングホイールベースモデルが発表された。同車種は中国限定の販売で、ホイールベースが基準より133mm長く、全長は5069mm。防音性能を良くし、後部座席の中央部にタッチスクリーンが装備され、後部座席の電動調整が可能となった。ブリリアンス社(中国におけるパートナー)との共同製作となっているため、組み立てまで全て中国で行われる。
新型BMW M5 ファーストエディション
フルモデルチェンジを記念して作成された初回限定モデルM5のファーストエディションが世界400台限定で発売された。ボディーカラーは限定色のフローズン・ダーク・レッド・メタリック、加えてグリルをはじめとしたメタルパーツがブラックに加工されるシャドウトリムが標準搭載、20インチ軽量アロイホイールが装着された。限定400台のうち、日本での発売は5台だ。センターコンソールにファーストエディションの文字と製造番号が刻印されている。価格は1,860万円とM5シリーズの中でも高価となっている。
BMW M5をあなたのものに
新車では少し手が届かないという方には中古車という選択肢もある。
BMW M5の中古での相場は
BMW M5シリーズの中古での相場は、BMW認定ディーラーでは600万円から970万円となっている。一般的な中古車販売サイトでは、200万円から1,000万円まで幅広く販売されている。車種の状態や希少度によっても値段が変わってくるので、予算に合わせて検索をしてみるといいだろう。
BMW M5をカスタムでオリジナルに
中古でM5を購入したとしても自分でカスタムすることでオリジナル感を出すことができる。M5のカスタムに最適なパーツは、ホイール、フロントリップ・ハーフスポイラー、フロントグリル、マフラー、車高調キット、ヘッドランプ、ウイングなどが挙げられる。
ホイールは、カスタムの中でも王道であり、インチアップやカラーを好みのデザインに変えるだけでオリジナル感が出るのだ。また、フロントリップ・ハーフスポイラーは、あまり目立たせたくない時に控えめにカスタムできるのでおすすめである。
BMW M5の維持費はいくらかかる
M5を所有する上で必要となる維持費は、クラッチ故障100万円、オイル交換費用5万円、自動車税8万8千円、車検30万円以上は掛かることを頭に入れて置く必要がある。また、オイル交換やガソリン代も掛かるため、合計するとかなりの高額となる。購入の際には、車体価格だけでなく、維持費の計算も忘れないように。
BMW M5はクルマだけではない
ここまで、「BMW M5」のクルマの世界観をお伝えしてきたが、実はM5の世界観を味わえるのはクルマだけではない。Mシリーズは各種グッズ販売にも力を入れている。ファッションなどMシリーズを中心としたライフスタイルを提案しているのだ。
BMW Mシリーズグッズ
ファンTシャツ (メンズ)
ファンTシャツには、「BMW Motorsport」や「BMW」、「powered by M」のロゴが各所に施されている。カラーはチームブルー1種類、サイズはS~XXLで税込み5,940円である。
バック・パック
耐水・耐泥加工のバッグ・パックはサイズ が約65×40×16cm 、容量40Lで約1kgである。
柔らかいクッション素材を使用し、「BMW Motorsport」や「BMW」、「powered by M」のロゴがあしらわれている。カラーは、ホワイトとチームブルーの2色で価格は税込み13,392円である。
タオル
心地よい触感を追及したコットン100%のベロア品質である。BMW Motorsportやpowered by Mのロゴ入りで160×80cmサイズのチームブルー1色のみ。価格は税込み¥6,264となっている。
PS4専用ソフト NEED FOR SPEED PAYBACK - Deluxe Edition
ニューBMW M5が登場する人気レースゲームの最新作である。豊富なカスタマイズと映画さながらのカーアクションが人々を魅了。目の前に広がる壮大なオープンワールド、フォーチュンバレーを堪能できる。価格は10,584円である。
BMW M5の自転車
BMWでは自社設計・製造の自転車も発売している。そしてもちろん「M5」をモデルにした自転車も存在している。限定500台の販売ではあるが自転車のりも満足の高性能自転車になっている。
まとめ
BMW M5の奥深い魅力をご理解いただけただろうか。歴代のモデルの数々、その洗練された走りだけでなく、クルマの枠を超えたM5の世界観が多くの人を惹きつけているのだ。
スポーツセダンの象徴として、そしてその枠を超えたBMW M5の世界はこれからも多くの人の心を掴んでいくだろう。
Photo by HimmelrichPR, 2018 BMW M5 (main)